謎の幼女!!
ぷしっ
遂に雪布留の白魚の様な細く美しい指先がユーキュリーネの頬に突き刺さった。
「い、痛い!? お止め下さい指が刺さっていますわ」
「わわっゴメンナサイ。とにかくその交流試合を受けますっ全力で受けます!」
「分かりましたわ、誰も雪布留さんには逆らえない物ですからねフフ。ではその方向で処理をしますわね」
パサリ
生徒会長は書類を畳んだ。
「雪布留さんと皆心は一つだ、このあたしも戦いたいとは思っていた所だからな。所でそのアラスカディア村立女学校てなどこにあるんだよ?」
セレネが嫌そうに生徒会長に聞いた。
「そんなのアラスカディア村に決まってますわ」
「だからそれが分からん言うておるのだっ!」
「東の地の神聖連邦帝国の旧都とか言うさびれた所に住んでるらしいですわ。鹿とかイノシシとかが出るらしいですわねえ」
スナコちゃんが鹿とかイノシシに反応した。
『鹿とかイノシシが居るなら田舎ですねえ、じゃあ大都会の神聖連邦帝国の意向とは関係無いでしょ』
「イノシシって前ウチらの所に一杯出たんじゃねーの?」
「ミラ、あれは化け物のイノシシだろ」
「でも熊が出たじゃん!」
『なんでミラジノ田舎具合を張り合ってるんですか?』
「私はしばらくイノシシ肉の事は考えたくないにゃ」
かつて倒したイノシシの化け物は、本当に皆でおいしく頂いたのでした。
「で、どういうタイムスケジュールで交流試合をすんだよ?」
「それはまだ決まっていませんわ。でも魔ローダーなんてパッと持ってこれる物じゃありませんし、今日明日の事では無いのは確かですわ」
生徒会長は猫呼の様に両手を広げた。
「ふんじゃあ用が済んだらけえりな!」
ミラがセレネの代わりに親指を立ててドアを指した。
「あら、主人と同じで家来も愛想が悪いですわねえ。スナコ首相ちゃん雪布留さんではまた、よろしければいつでも生徒会室に遊びにいらしてねウフフ」
ユーキュリーネは最後に雪布留に笑顔を振りまいて去って行った。
ピシャリッ!
「しかし本当に挑戦状を受けて決闘だか交流試合だかするなんて、えらい事になりやしたね?」
ジーノが冷や汗を掻きながら武者震いをした。
『勝てる見込みはあるんでしょうか、心配です』
「何を言ってるのよ、最後は私が千岐大蛇ビィームで解決するわよ!」
「雪布留さん交流試合って理解してますか? 大抵殺しちゃ失格なんスよ」
「試合の時点で凶悪な武装は使用禁止でしょ」
「エーッ!」
皆はあきれて雪布留をみた。
「出来る限りあたしが木剣の稽古をつけますよ」
「エーッめんどくさいわぁ」
『雪布留、どういうつもりで交流試合を受けたんですか?』
「スナコちゃんの尻肉の仇よっ!」
「雪布留さん、しばらく尻肉禁止で良いですか?」
ーそうこうして次の日になった。
『るんる~ん、今日もミラにヤキソバパンの買い出しを命令されちゃった~♪』
なんやかんやで政務をセレネに押し付けているスナコ首相は、いつもの様にミラジーノから買い出しを命令されていた。
「キャーーッ!」
「かわいいーーっ!!」
と、突如巻き起こる女学生達の黄色い歓声。箸が転んでもおかしいお年頃とは言え、しばらく聞いた事が無い音色の歓声であった。
キュキュッ
『つかぬ事をお聞きしますが、何が可愛いのでしょうや? 見た所何も見えませぬが』
スナコも歓声の中心を見るが、そこには何も無かった。
「エーッやだ~知らないの~おっくれてる~~」
80年代風の返しをする女学生はキャハハと笑うばかりで教えてくれない。
「スナコちゃんに意地悪しちゃダメよ。実は今謎の幼女が学園内をウロチョロしてて凄い話題になっているの。ファンクラブも出来たくらいよ!」
『謎の幼女が学園内をウロチョロしててはダメで御座ろう……』
スナコは冷や汗を掻きながら少し視線を下げてみた。
「ウワーン、あたし5歳だから売店に手が届かないよ~~」
よく見ると、床の低い所で長すぎるブカブカの白衣を着たツインテールの幼女が、手をジタバタさせていた。スナコこと砂緒は幼女に興味が無かったので、異様な姿にしか見えない。
『マ、マジカッッ!?』




