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けんか、魔ローダーを見に行く。c


 砂緒とフルエレが歴代の王に似せて、表面を固めていた像から見つけ出した魔ローダーは当然の如く王家に接収され、今は各種調査を受けたり他に搭乗の適正者は居ない物かと試験を繰り返したりしていた。


 出現時は百メートルを超えていた全高が、何故かその後に等身はそのままに二十五メートル程に縮んでしまったとは言え、非常に目立つ巨体であり、今は城横に巨大な仮設の天蓋を建て、そこに収納されていた。


「グハッもうこれ以上は駄目です! これ以上は死にます!! ガハッ」


 巨大天蓋の中で座ったり足踏みしたり、腕を振り回したりするだけの微妙な動きを数分繰り返していた魔ローダーが突然四つん這いになり、ハッチがバシャッと開くと中から魔導士が一人転がり出て来て、下に敷いてあった衝撃吸収マットにドスッと落ちる。さらに魔導士はぐはっと吐血までしていた。


「う、うあ……」

「フルエレのアレ、すっごい危険なブツですよ……」


 フルエレと猫呼が滝汗を流しながら天蓋の隙間から覗き見ている。


「やはり、もう一度あの子に乗ってもらうしか無いのか……」


 王宮技術者達がぶつぶつ言い合っている。


「ほらほら、フルエレの事言っていますよ!」


 猫呼が嬉しそうに言った。フルエレも確かにそう思った。


「あの~そこで何をしてらっしゃるんですか? もしかして怪しい者の方ならぶち倒しますよ?」

「うわっ!」

「ち違います! 怪しい者の方じゃないですよ! ほ、ほほほほ本当です」


 フルエレと猫呼は怪しい者にしか見えない慌てぶりで必死に否定した。


「あ!? もしかしてフルエレ様と美少女冒険者組合支配人(ギルドマスター)の猫呼ちゃんですか!?」


 二人を呼び止めた者は一両の魔戦車で複数の敵魔戦車を破壊した黒い魔導士服の少女だった。この少女にとって砂緒(すなお)とフルエレは謎の凄い遊び人で、猫呼が冒険者ギルドの主になっていた。

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