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イノシシ型モンスター達の神……


「にゃ、にゃんですって!?」


 代表して猫呼(ねここ)が驚いた時であった。

 ズドドドドド……

 地震とは全く異なる地響きを立てながら、蘇ったばかりのイノシシ型モンスターの一団が走って来た。


「きゃーーっ皆さん、高い場所によじ登るのですよっ!」

「ふんマイヤー弱気だなっ! こんなモンスター風情など朝飯前で斬り捨ててくれるわっ!」


 シュパパッ斬ッッ!

 セレネは向かって来る猪軍団を切り捨てて行くが、異様に数が多くセレネの一角を除いてどんどんと走り抜けて行く。


「セレネそんな程度ではキリがないわっ」

「では得意の氷魔法で!」

「とか言っている間にもうだいぶ通り抜けて行きましたよ」


 木によじ登ったユリィーナ達は遥か西を眺めた。


「にゃーーーっ!?」


 ズドド……


「きゃーっ猫呼が後ろ向きに背中に乗せられて連れていかれたわ!」

「ちっこれだからっ!」


 シュババッ

 セレネは物凄い運動能力で八艘飛びの様にイノシシ型の背中を伝い、連れて行かれそうになった猫呼を持って帰って来た。

 ドスッ

 その間にも多くのイノシシが通り過ぎて行く。

 ズドドド……



「ふぅーあのままイッてたら、イノシシの嫁にされる所だったにゃっ!」


 シィーン

 乙女の集まりである雪布留一味では、こうした冗談はスルーされる習わしであった。


「しかし何故イノシシ軍団は西に向かっているのだ?」


 イェラは首を傾げた。


「わたくし聞いた事がありますワ! このユティトレッド半島のモンスターの多くは、古来トドロの森から発生したとか……あのイノシシ達もかつての故郷に帰っているのでは無いでしょうか?」


 マイヤーは片眼鏡を片手で調節しながら力説した。


「むぅ確かに言われてみればトドロの森が怪しいな」

「もしかしてスナコちゃん達もトドロの森に連れ込まれてるのかもしれないわ!」

「確かに……野人もモンスターとすればトドロの森に棲んでいる可能性はあるな」


「スナコちゃんが心配だよ、今頃一体どんな酷い事をされてるか……僕は僕はもう! はぁはぁ」


 ルンブレッタは頭を掻きむしった。


「興奮してるやないか」

「綺麗な顔して変態っスね」

「スナコが好きな時点でアレだろ」


「では早速トドロの森に急ぎましょう! 私は蛇輪(へびりん)を取って来るわっ」

「え?」


 雪布留(ゆきふる)は誰の話も聞かず、そのまま走り去った。

 スタタッ


「はわわ止め止め、雪布留さんが蛇輪に乗るとロクな事が無い! ちっ仕方が無い、軍に命令してSRV部隊を蛇輪の押さえに出そう。マイヤー連絡を頼む」

「は、はい!」


 マイヤーも走って行った。


「我らも急ぎ出発だっ!」


 イノシシ型達のお尻を追って、セレネとミラ・ジーノの三人が乗った魔輪(まりん)サイドカーを先頭にスナコ救出隊は出発した。



 ートドロの森

 スナコ達はまだ川の字になって寝ていた。


「ふぅもう寝たダスな? では拙者そろそろ帰るとしますか」

 

 スゥスゥ寝息を立てる依世の寝顔を確認すると、スナコは葉っぱの布団を脱いでそーっと起きようとする。

 ぎゅむっ。


「ウーッ」

「う?」


 気付くと依世は眠ったまま歯ぎしりして、スナコがジャージズボンの上から履くスカートの端っこを握りしめていた。


「仕方あるまい、スカートをパージするか」


 スナコが腰のジッパーを開きかけた時であった。

 ズドドドド……

 遠くから妙な音が聞こえて来た。


「ん、何だこの振動は? 地震とは全く違う振動だな……」


 ズドドドーーッ!

 スナコ達に向かって突然大量の猪型モンスター達が結集して来る。


「アオーン、一体何の騒ぎなんだぜ?」


 物音と獣の臭いに次にフェンリルが目を覚ました。


「ブモーーッ」

「ブヒブヒ」


「何を訴えておるのだ? 一体これは何事??」


 スナコはフェンリルの顔を見る。


「我ら永い時を封印されていた様だ、今がどういう状況なのか良く分からないので、とりあえずトドロの森に帰った。すると貴方達神の遣いが居た、どうぞ我らを導いてくれ……的な事を言ってるぜ」


「ブモーの中にそんな複雑な文言が?」

「ンーッ? ニク??」


 遂に依世(いよ)も目をこすりながら起きて来た。



「拙者神やら何やら興味ありませんからなァ、どうぞ二人でイノシシの神にでもなれば良いでしょう、では!」


 スナコは手刀を切って、退散しようとした。

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