第二話 電脳世界の入り口
ベットに横たわりVR機器の電源を入れるとメッセージ音がなった。
【ゲームを起動しますか?】
もちろんYESと答える。
すると、世界が変わった。
何かに侵入する感覚?ずっと自由落下する感覚?
表現がしようのない感覚が襲い、瞼を閉じる。
そして目を開けるとそこはまさに電脳空間と呼べる場所だった。
「おぉ〜」
思わず感嘆の声をあげる。
薄紫のポリゴンブロックで構築された空間。
まさにザ・電脳空間って感じだ。
『ようこそ。サバイバーの世界へ。佐々木謙一様』
「え?」
なんで俺の名前を?
そう不思議に思うと目の前のブロック状の何かは答える。
『私の名前はP-7t69。
キャラクタークリエイトのナビゲーションナビになります。』
「へぇ、凝ってるなぁ。」
『分からないことがあればお答えいたしますので、
疑問を感じましたらお聞き下さい。』
「分かった。」
『ではまず、プレイヤーネームを入力してください。』
そう言われると目の前にホログラムの入力基盤が出現する。
迷わず名前を入力する
《サキイチ》
自分がいつも使うハンドルネームだ
『入力を確認しました。次にメインジョブとサブジョブを入力してください。』
目の前の入力盤が変化し選択画面に変わる。
「えっと、戦闘ジョブと生産ジョブがあるのか。お、これは…」
目に止まったのは【料理人】のジョブ。
生産系のジョブだ。
「これしかないな。となると、サブも生産系にするか。
うーん、食材を育てれそうだし【農家】にしようかな?」
選択を終え、完了を押した。
『入力を確認しました。次にプレイする種族と容姿を生成してください。』
また目の前の入力盤が変化し選択画面に変わる。
「ん?」
種族の選択画面に触れるがなにも反応が返ってこなかった。
「なぁ、種族が選択できないんだけど?」
『種族は選択されたメインジョブに属して選択肢が解放されます。
選択されたメインジョブは【料理人】ですので、ヒューマンに固定されます。
ジョブの選択画面へ戻りますか?』
「いや、いい。このジョブにしたいしな。」
そう言うと容姿生成画面へと移行させる。
髪型、体型、年齢。
様々な選択項目がある中で一つ疑問が浮かぶ。
「これ、性別の選択項目がない?」
探しても見つからない。
『このゲームでは生体認証で確認された性別で固定されます。』
「え?ネカマ禁止なの?」
少しびっくりした。
こういうゲームだと当たり前の機能なだけに新鮮だった。
「まぁいいや。うーん。どうしようかな?」
『お悩みでしたら、ランダム生成などもおすすめしております。』
「ランダムかぁ、ヤバイ容姿にならない?」
『ある程度の方向性を指定することも可能です。
また、意図的におかしな容姿にする場合はご自身で設定しなければなりません。』
「なら…うーん…渋めにできる?」
『受けたまりました。生成していますので少々お待ちください。』
すると、目の前のスクリーンに巌のような威圧感を放つ老紳士が写し出された。
『いかがでしょうか?』
なんか厳つ過ぎるけど、まぁいいか。
「OK。これでいいよ。」
『入力を確認しました。最後にこのゲームの注意事項及び利用規約をお読みください。』
目の前に碑文みたいな文字列が浮かび上がる。
『注意事項について重要なことを申し上げます。
このゲームはチート行為及びRMTは固く禁止となっております。
該当の行為が確認された場合、アカウントの凍結及び損害賠償の請求をさせていただきます。
また、その際にユーザーデータを使用することに同意して頂けますでしょうか?』
「もちろん構わないけど、そのユーザーデータは他の事に使わないの?」
『はい。
他にユーザーデータを使用する場合はその都度確認を取らせていただきます。』
利用規約も読んだけど、特に変な所はない
両方にサインをして完了を押す。
『はい。確認しました。
それではサバイバーの世界へとご案内させていただきます。』
すると、目の前に扉が出現する。
『それではいってらっしゃいませ。サキイチ様。
貴方様によき冒険が在らんことを。』
その言葉を背に扉をくぐって行った。