長めのプロローグ
自分は普通だと思っていた。
大卒で営業になり、まぁまぁな成績を出しつつ、仕事に追われながらも独身ライフを満喫していた。
【ストレスは美味い飯を食べるに限る】
それを合言葉に営業成績ともに体重も増やしていく生活。
後輩に腹を突かれ、運動しなきゃと思う程度の心持ち。
いつか…そのうち…そう思いつつ美味いものに舌鼓を打つ生活。
順風満帆…のはずだった。
「え?」
俺は思わず聞き返していた。
「だからですね、佐々木さん…このままですと、死にます。」
目の前の医者は重々しく告げた。
冗談には見えなかった。
「重度の糖尿病です。既に合併症も起こっていてもおかしくないです。
…ここまでよく気がつかなかったのかが不思議なくらいの状態です。」
頭に情報が入ってこない
<呆然とする>と言う言葉がここまで似合う状態は人生初めてだった
「とにかく、まずは栄養指導を受けてもらいます。
その後、1日入院をして他の症状がないかを検査します。」
そのあとは会社に連絡した後の事はあまり覚えていない。
色々な検査しクソまずい病院飯を食べて退院した。
そして、地獄の日々が始まった。
当たり前に飲んでいたジュースや酒は水に変わった。
好きなものを食べていた食生活は糖質制限食へと変貌した。
仕事中に食べていた、ガムやチョコは全て消えた。
当たり前が当たり前じゃなくなった。
当然、俺自身も変わって行った。
仕事はイライラして上手くいかず、接待も出来なくなった。
営業成績はどんどん下がっていき、追い込まれて行っていた。
自分が生きている意味が分からなくなってきた頃に上司から休暇を言い渡された。
《きちんとしてから戻ってこい》
上司から言われたことが飲み込めない程に訳が分からなくなっていた。
申し訳ないですが、まだ続きます。