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それでも俺は生きている  作者: おうまさん
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第一章 第二話 「朝日を浴びて」

前回の続きです。

第一章 第一話からご覧ください。

あの日から聖也と遊ぶことは無くなっていた



それは聖也が就職するために忙しくなったこと

俺も仕事は辞めていて東京に向かっていた



聖也も東京に就職するつもりだと言っていた

やるべきことに追われている聖也に甘えるのは辞めた



俺は知らない土地で頑張って、聖也を待つつもりでいた

前から憧れもあったし、何よりやってみたい気持ちが大きかった

新幹線の中ではウキウキしていて気がつくと、東京だった



東京について知り合いの神威さんの誘いで仕事を始めた

それがホストだった



すぐに家も紹介してもらい

ここから頑張ろう

いつか聖也にも恩返しをできるぐらいビッグになってやるって

そう思い、初出勤を迎えた

お店での源氏名はここからという意味も込めて

(こよみ)という名前にした



慣れないサービス業

ましてや知らない人と会話をし擬似恋愛をする

かなりハードな内容だった



自分で言うのもなんだが、顔は良いほうだと思っていた

だけど、なんの役にもたたないことが分かった



かっこいいですね

なんてのは挨拶みたいなものだった

そこから自分なりに頑張ってみるが難しいものだ



どれだけ顔が良くても会話ができないと

スマホに負けてしまう

画面を無言で覗いている彼女たちを見ては

イラつきさえ覚えていた



先輩たちからのフォローなども受け

出来る限りのことを彼女達に尽くしていた



だけど俺に指名がくることは無かった

※(指名とは指名料をお客様から頂きその人が来店のたびに固定で接客をするというもの)



ホストでは売り上げたお酒等の金額でナンバーが決まる

俺はいつも圏外だった



お酒を売り上げた金額で給料が決まるため

毎日安いパンが主食だった

寮も相部屋で寝て過ごす以外することも無かった



そんなある日

お客様の一人が先輩に手料理を持ってきていた

先輩は後輩たちを呼んで皆で頂いた



あまりに久しぶりのまともなご飯

俺は無心で食べていた



「美味しそうに食べてくれて嬉しい

あなたにも何か作ってこようかなー」



お客様からそう言われた

俺は思わずお願いします!と言った



周りは笑っていて、良い雰囲気になった

そして先輩が僕をその席にヘルプとして呼んでくれた


※(ヘルプとは主に指名されてるホストが居ない時の対応やお酒を進んで飲んだり盛り上げる役)


そのお客様はご飯食べてからでいいよと言ってくれたが俺は遠慮して接客に徹した



お客様は僕にと、シャンパンを入れてくれた

初めての売り上げでまた大きな声でお礼をした

ヴーヴ クリコ

10万円もする高級シャンパン

その時やっと生きた心地がした



嬉しくて嬉しくて

なんでもやります!

なんて馬鹿みたいなことを言っていた



お客様は笑って

「じゃあまた料理作ってくるから全部残さず食べてね」

と言ってくれた



俺は毎日でもと答え

やっとまともな会話が出来た



それから営業終了後に先輩に激励されて

先輩が担当してるお客様の枝を分けてくれることになった


※(枝とはすでに指名ホストを持っているお客さんが同伴で連れてきたお客さんのこと)



また料理も持ってきてくれるらしい

やっと仕事ができた気がした



寮に帰ってすぐに聖也に報告した

お金よりも何よりも成功への一歩を踏み出せたことが嬉しかった



聖也は、おめでとう

俺も行くから稼いで叙々苑でも奢ってくれと

嬉しそうに言ってくれた



今すぐにでも会って一緒に飲みたかったが

俺はとりあえず、落ち着いたら遊ぼうと言った



俺たちはそれから東京で合流した時のことを

語り合っていた



家に着く頃には朝方だった

聖也はいないがベランダで吸うタバコは

いつもよりずっと美味く感じた



また夜から頑張ろう

そう思いながら俺は布団に入った



懐かしさを感じる朝日を浴びて



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