9 いっしょにおふろにはいろう!
一日の疲れを癒やす行為として、ゆっくり入浴するということはとても良いものだ。
汚れをシャワーで落とせばまるで生まれ変わったかのようにすっきりとした気分になるし、温かい湯船に浸かってまったりとその日起きたことを反芻したりすることは精神衛生上必要なものだと思う。
「コメットちゃん、そろそろお風呂入ろ~」
「あい~、わかったのです」
お姉ちゃんの美味しい夕飯を平らげ、リビングでゆったりとした時間を過ごしていた私たち。
そろそろ時間も良い感じに更けてきたのでお風呂に入りましょうという塩梅である。
ここ最近私は、コメットちゃんと一緒にお風呂に入るのが当たり前になっている。
一人きりのお風呂は自分だけの思考に没頭できて心地良いもので、疲れをリセットしたり心を癒やすのには不可欠だが、銀髪美幼女と一緒にお風呂に入るということはそれを遥かに勝るだけの価値がある。
なんたって、超自然、至って合法的に幼女の肢体を舐め回すことができるのだ!
…失礼、舐め回すように見ることができるのだ!
そこにいやらしい気持ちがあるなしに関わらず、コメットちゃんという銀髪美幼女の身体を上から下まで隅々を眺めることが出来る。
しかも、身体を洗ってあげることによりタオル越しではあるが極めて長い時間その身体に触れることさえ出来てしまうのだ。
イエスロリータノータッチの精神は美しくあり、世界の幼女たちの健全な育成を図るならば私たちロリコンはその美しき妖精のごとき奇跡の柔肌に触れることは叶わない。
だが、お風呂に入ることによって一時的ではあるがその枷から我らの悲しき魂を解き放つことができる。
苦悶に喘ぐ、幼女と触れあいたいという悲痛な欲求を最高の形で解放することができるのだ!
私はこんなに幸せなことを知らない。
幼女の肢体を最接近して眺め、あまつさえそれに触れることが出来る。
ああ、なんて素晴らしいことだろう。
天と地と風と海と万物の神々に感謝。
圧倒的にありがとう。
「何を惚けた顔をしているのですか?」
我が家の脱衣場で、コメットちゃんは私を見上げて訝しげな表情をしている。
「べ、べつになんでもないよ~コメットちゃん。なんでも、なんでも、えへへ~」
私は心の中に渦巻く情念をコメットちゃんに気取られないように至って平静を取り繕う。
些か繕えてないような気もしないが、大丈夫、もーまんたい。
「…?まぁ、いいのです。さっさと服を脱ぐのですよ」
「え?コメットちゃん、そんなに私の裸が見たいの?いいよ、コメットちゃんにだったら好きなだけ見せてあげる」
「ええい、違うのですよ!ほんと詩葉はアホなのです。いいからつべこべ言わずさっさと脱いで入浴するのです」
コメットちゃんに促されるまま、私は部屋着を脱いでいく。
部屋ではノーブラ派の私なのでシャツとズボンとパンツを色気もなくすとんと落とすだけですっぽんぽんだ。
私には垂れるだけのおっぱいもないので許される限りノーブラでいられたらいいなって思う。
本当はノーブラで学校にだって行きたいくらいだけど、流石にキャミソール越しとはいえ乳首が勃っちゃったら恥ずかしいもんね。
透け乳首はとてもえっちだと思うけど、流石に自分がえっちな視線を向けられるのには抵抗あるなぁ。
でも、それもちょっと良さそうかなぁなんて思ったり思わなかったり。
有栖ちゃんやお姉ちゃんくらい胸が大きければ基本的にいつでもブラは付けておかなければいけないだろうから大変だ。
肩凝りもするだろうし、垂れたら嫌だし、巨乳の人たちって本当に苦労してるよなぁ。
大きくて綺麗なおっぱいを持っていることに関しては羨ましく思うけど、その裏に苦労があるということを考えてしまえば私は彼女たちへの敬意を感じずにはいられない。
大変な思いをしながらも素敵なおっぱいを見せてくれてありがとう、巨乳の女の子たち。
貴女たちのおっぱいのおかげで世界は平和になってるよ。
おっぱいは平和の象徴だよね。
そんな事を考えている間に、目の前のコメットちゃんもすっぽんぽんになっていた。
彼女の場合、その衣服は改変で作っているようだし脱着も思いのままらしい。
ほんと便利だなぁ。
「それじゃあコメットちゃん、いくよ…」
「お願いするのです」
コメットちゃんの銀色の長い髪。
艶やかで流麗な絹糸のようなそれは、彼女の体軀からすると足下へ届かんというほどに長い。
当然、それを一人で洗うには酷く手間の掛かることだし、いつも私は彼女の髪の毛を洗う手助けをしている。
私の脚と脚のあいだ、そこにすっぽりと収まるようにしてコメットちゃんは座っている。
美幼女を股座に挟むという行為に酷く倒錯的な感情を抱くし、後ろからみる彼女の幼い背中は非常にそそられるものがある。
起伏の少ないながらも真っ白に透きとおるような白磁の肌が水を纏うことでお風呂の温かな光を艶めかしく反射している。
シャワーを浴びていることによりいつもよりも熱く火照った身体は、ほんの少し赤みを帯び、上気。
そこにつるりと水滴が滴る瞬間、そこに描かれた軌跡こそが、この世界の奇跡。
どんなものよりも美しく尊い最高の情景へと昇化されるのだ。
そして何よりも、この両手で美しい銀色の髪を弄んでいるという事実。
この世のものとは思えない、どこか宇宙めいた美しさを纏った錦糸を両の手で堪能しているという現実が、否が応にも私の心臓を高ぶらせていく。
心は高ぶっていても、指先は何処までも繊細に。
この美しい銀髪を私の手で出来る限り丁寧に洗髪するのだ。
鏡を見たコメットちゃんが自分の髪にうっとりするくらい綺麗にしてあげたい。
髪は女の子の命だから、私は命を預かっているのだということを忘れない。
どんなにコメットちゃんの身体に欲情しようとも、彼女の髪の毛への敬意だけは忘れてはならない。
幼少の頃、お人形遊びをするというのはどんな少女でも経験したことだろう。
女の子の形をした小さなお人形の髪の毛を、これまた小さなブラシで梳く間、もっともっと綺麗にしてあげたい、いっそのこと一緒にお風呂に入れたらいいのにと、そんな風に考えていたことが思い出される。
お人形さんのように可愛いコメットちゃんの髪の毛を丁寧に丁寧に洗ってあげるということ。
それはあの日夢見たお人形さんの髪を洗ってあげたいという気持ちの答え合わせなのだ。
夢見たことが現実に今起こっている。
だからこそ、私は真心を込めて銀色の髪に相対する。
弦を爪弾く奏者のように、私は銀色の音色を奏でていくのだ。
「はあ、こうして髪を洗って貰うのはとっても心地がいいのです」
「そう?それなら私とっても嬉しいよ~」
「本当に、人間の文化というものは素晴らしいものなのです」
基本的に何でも改変で済ませられちゃうコメットちゃんは勿論、お風呂に入る必要はない。
わざわざシャワーを浴びて髪を身体を洗って湯船に浸かったりなんてしなくても、彼女の身体は恒常的に綺麗に保たれているし、本来入浴なんて非効率的な行為に勤しむ必要などどこにもないのだ。
「人間の世界にいる以上、こうやって人間の行為を真似ることには一定の意味が生まれるのです」
彼女が言うとおり果たしてそこに意味というものがあるのかどうかは定かではないが、彼女自身楽しんで人間の文化に触れているようだし、そう望むのであれば私は彼女の手伝いがしたいと思う。
だからこうして一緒にお風呂に入って、人間の文化を教えてあげているということなのだ。
その実、面倒くさがりのコメットちゃんの介抱をしてあげてるだけのような気もしなくもないけどね。
「そもそもコメットちゃんはさ、観測者だとか調停者だとかいう、人間の上位者的存在な訳でしょ。それってつまり神様みたいなものだよね」
「神様という表現は正しくはありませんが、人間の上位者ということに関しては言って差し支えないかもしれませんね」
「それならさ、こうして私がコメットちゃんに見て触れられることって不思議なことだよね。そういう上位の存在って、見ることも触れることも出来ないみたいなのがSFの定石だったりするじゃない」
観測者であり調停者、人間の上位者である彼女にも、実体があり私のような平々凡々とした人間でも簡単に接することができる。
彼女の可愛い容貌を見られることは幸せだし、こうして一緒にお風呂に入れることもとっても嬉しいけども、それがすこし不思議に感じるのだ。
「結構良いところを突きますね。実際のところ、本当の私は二十五次元の存在なので到底詩葉たちに知覚できる存在ではないのですよ」
「二十五次元!?何それ、わけわかんない」
私たちが暮らしているのは三次元の世界であり、時間という概念も考慮すれば四次元にしかなり得ない。
それが、コメットちゃんは二十五次元の存在だという。
そこにある二十一次元の隔たりとは、一体どれだけ途方もないものなのだろうか。
「この世界の現代科学や物理学ではどれだけ掛かっても到底理解出来ない域の理論ではあるのですが、私たちが見ている世界とはもっと複雑で包括された次元の揺らぎなのです。本来、次元的に上位な存在は、下位次元のことを知覚できてもそれに直接触れることが出来ないのです」
例えば、私のような人間が一次元や二次元の世界を想像することは出来るが、その次元そのものに触れることは叶わない。
一次元は点であり、二次元は縦と横で表現できる。
それを知っていても、たとえ紙の上に点描しようとも、四角形を描画しようとも、三次元世界に存在している以上、そこには縦横奥行きという三次元的概念が必ず含まれる。
だから私たち三次元の存在は下位の次元に直接触れることが出来ないのだと、コメットちゃんは言う。
「ですが、私たちは下位の次元にそれぞれの波長を調整することによって顕現できます。今こうして私が詩葉の目の前にいることも、本来二十五次元の存在である私という概念を三次元までカラビヤウ多様化することによって顕現しているに過ぎないのです」
「それってつまり、コメットちゃんのこの身体は偽物っていうこと?私が見ているコメットちゃんも、触れているコメットちゃんも、全部作り物なの?」
私は何故だかとても悲しい気持ちになってくる。
私の大好きなコメットちゃんは、本当のコメットちゃんじゃなくて作り物に過ぎないのではないか。
それならば、私の感じてるこの気持ちも全部、偽物っていうことになるの?
「全部作り物なんてことはないのですよ。私のこの身体はあくまで三次元に波長を合わせたというだけで二十五次元の世界からやってきた私自身の身体であることに間違いは無いのです。勿論、見え方というのは随分と違いますが、この身体も歴とした私そのものなのです」
「そっか、良かったよ。私、コメットちゃんが本当のコメットちゃんじゃないのかもしれないって少し不安になっちゃった。っていうことはさ、コメットちゃんはもともと幼女体型でつるぺたっていうこと?」
「詩葉は失礼極まりないのです!でも、そうですね、この身体の幼さは私の精神の幼さに由来するものなのです。以前言ったかも知れませんが、私の年齢というものは、この世界の人間に換算すればまだ十四歳くらいでしかありません。詰まるところ私の精神はまだまだ成熟しきっていないということなのです」
ロリとは一体何だろう。
幼女とは一体何だろう。
見た目が幼いから幼女なのか?
それならば年齢的に大人の女性でも見た目さえ幼ければいいのか?
断じて否!
幼女の幼さとはその精神性の幼さから来るものである。
見るもの全てに感動を覚え、花や木や自然の一挙動で心をときめかせるその純真こそがロリ。
それならばつまり、コメットちゃんは見た目も幼く精神も幼い、正真正銘、最高のロリということだ。
二十五次元だとか関係ない。
今私の前に最高の銀髪美幼女が存在しているという現実だけが正しい。
銀髪ロリが私のすぐ傍に裸ん坊でいるということだけが世界の真理なのだ!
「ありがとう」
私は涙さえ流さんという程の感動を覚えていた。
私が毎日一緒にお風呂に入って、髪の毛を洗い身体を流していたコメットちゃんという存在が、私が心から求めていた幼女だったことに、ただただ滂沱の感情を噛みしめていた。
「どうしたのですか詩葉?何かおかしな顔をしているのですよ」
「私の楽園は、ここにあったんだ…」
幸せというものは、気付かないもので案外常日頃からすぐ近くにあるものなのだ。
それに気付けるかどうかで、人生の幸福度というものは大きく変わっていく。
私にとっての幸せとは、コメットちゃんと一緒にお風呂に入るということ。
ただそれだけのことで私は楽園にいるような心地でいられる。
「コメットちゃんのつるぺたぼでぃ、可愛いよ、可愛いよ、うわぁあん!はぁはぁ、頬摺りしちゃう!頬摺りしちゃうもんね!あ~~~しゅごい!コメットちゃんの柔肌しゅごしゅぎりゅ~~~~~~!」
「みぎゃぁ!やめるのです!今すぐ離れるのです!さっきまでちょっと不安そうにしてたから心配してみればやっぱり詩葉は変態なのです!調子に乗るんじゃないのですよ!」
「はぁああん、つるぺた。つるぺた~~~!世界の真理つるぺた~~~!幼いは正義、起伏のない身体こそが神秘であり真理~~~」
「ええい、私の腰を抱くんじゃないのです、この変態幼女姦淫魔!そんなにつるぺたつるぺた言われる身にもなるのですよ!第一、詩葉だって胸はつるぺたじゃないですか~!」
「確かに私は胸はつるぺただけど、腰はくびれてるし、お尻も結構良い形してると思うんだよね?どう、コメットちゃんも私の身体触ってみる?お尻揉んでみる?いいよ~、お互いに触りっこしようよ~ほらほら~ほらほら~!」
「痴女!変態!ロリコン!離れろ!離れるのです!十八禁になる、十八禁になるのです!私の貞操が、奪われる~~~!」
こうして夜は更けていく。
私は暴れるコメットちゃんに殴る蹴るされて結構体中ぼろぼろだったけど、幸せな痛みなのでそれもいいかなって思う。
ちなみにこの後お姉ちゃんまでお風呂場に乱入してきたことにより事態はさらに混乱を極めるのだけど、それはまた別のお話。




