序 『いつものこと。毎週日曜の日課』
※ 注 意 ※
この作品の何割かは既存作品のパロディで構成されています。
主に特撮番組等からの影響が強いので、そういったものを不快に思われる方は読むのを止めることをオススメします。
「くらえッ!必殺の……エレクトリカル・ブレェイク!!」
輝きをまとった僕の拳がねじくれた奇怪なばけもの――仮面獣に炸裂する。
ばちばちと火花を散らして、気色の悪い外殻が砕ける感触。それに続いて、内側のグロテスクなどす黒い筋組織が爆ぜる。
ぎぎぎ、と耳障りな声で鳴いて、仮面獣が痙攣を始めた。
僕はこいつがどんな生き物でどんな構造をしてるかなんて全然知らないけれど、長い間こいつらを殴り倒している経験上からわかる。
「ギギギギギギギィ……」
カウント・ダウンを始めるように仮面獣の声が弱々しくなってゆく。
……王道、といえば王道なのか。仮面獣は、その生命活動を停止する時――――自爆する。
まるで、テレビの中の怪人がそうするように。
それを知っていた僕は、巻き込まれないように身を翻すと、即座に仮面獣から離れ背中を向けた。
轟音。
僕の背後で、仮面獣が爆散するのがわかった。
- Rai Septer -
「おのれ、忌々しいライセプターめ……」
地底邪悪帝国の秘密基地の司令室の中央で、大きく表示されたモニターを眺めながら殺戮将軍ジェノサイラスは手にした指揮棒をへし折った。
ジェノサイラスは地底帝国の蛮族の戦士の一人として生まれたが、邪悪帝王にその才覚を見出され幾多の敵と同胞を葬りながらここまで上り詰めた、生粋の狂戦士だ。
厳つい暗黒金属の鎧を身につけ額から禍々しい角を伸ばした三メートル近い巨躯は、そこに立っているだけで凄まじい威圧感を醸し出している。
「まったくじゃわい、毎週毎週飽きもせずよくもワシのかわいい仮面獣を!」
奈落博士アビシュタインが渋い顔で頷く。人類のそれと比較し数十倍に肥大化した頭部の表面に浮き上がった無数の血管のラインは、彼がひどく興奮状態にあることを示していた。
アビシュタインは他星系から飛来した侵略宇宙人だ。その科学力、知識は人類のそれを遥かに凌駕している。
生命維持ポッドから出てしまえば数分と経たずに絶命してしまうが、その脆弱さと引き換えに手にした英知の結晶は人々の脅威たるに充分すぎるだろう。
「フッ……ライセプター。また腕を上げたようね」
死神大公デスフェレスだけが、薄い紅の差す唇を吊り上げていた。
デスフェレスの正体は謎に包まれており、仮面の下の素顔は同じ大幹部である二人はおろか、邪悪帝王ですら知らないという。
「何を笑っておるのだデスフェレス!新たな仮面獣の生成には貴様の魔術が不可欠なのだ。次の計画を始めるぞ!」
ジェノサイラスの乱暴な怒鳴り声が指令室に響く。
まるで道化のような仮面の奥底で、デスフェレスは静かにほほえんでいた。
ここまで読んでくださってありがとうございました。
ご感想や意見、叱咤激励や苦情に文句などありましたら、よろしければお声をかけてください。
それでは、よろしくお願い致します。




