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羽毛.他  作者: ナオユキ
3/3

叛逆者への叛逆

過ぎ去りし二百余年

十九世紀の志士達は

はや古き祖と肩並べ

書棚の埃を頂かん。


彼らの叛逆精神は

家出少年の情熱

掟なし家例なし規則なし

虚仮の自由を謳歌せぬ。


神の掟は人を縛る

魂を縛りて力を削ぐ

そは彼の牧場に安らがせ

命を得させるがためなり。


されど人間の性は

本能の抑圧を忌み嫌い

もって神の恵みをふりはらい

「汝、暴君」と汚口を開く。


知識をあがめ

人の作りし知識をあがめ

神の創りし物象をかすめ

我ら世界の王と宣言す。


物理物質界に神はなし

精神神経系に神はなし

宇宙自然界に神はなし

心理神秘界に神はなし。


フラスコを煮立たせて

道徳を廃棄せよ。

機械の怪音でもって

真理の声を閉ざせ。


彼らは神から遠のき

偶像崇拝の罪に落ち

十字架を投げ捨てて

雷を招きたり。


今や彼らに賛同せしものありや?

栄光の過去を史学に眺めしも

その言葉は魂に記されしや?

彼ら希望の破壊者は。


世の闇路は変わりなく

屈辱の谷はいまなお難い。

死の谷の暗さなお深く

妖怪の爪が伸びてくる。


神を疑る者の言うことは

闇に馴染めというのだ。

暗闇に溶け込めば死もなく

無に帰すれば恐れなしと。


むざむざ死ねという

自殺の奨励者ども。

メシアを騙るサタンの手下。

饒舌なる火吹き芸人め。


だが天の御心は下りぬ。

彼らは時の流れに泡となり

レクイエムが歌われる。

進みて世は新しくなり。


二十一世紀の科学は

信仰の味方である。

呪われし十九世紀は終わり

信仰の夜明けは間近にせまる。


我は知る。

まことに神は計りがたく

その御心は人を超えて

けして侮りえない。


我は信ずる。

世の始めにいまして

世の終わりに来ませり

世々常にいます神を。


我は望む。

義により世を裁き

愛により世を救う

全能者の光輝を浴びんことを。


今、我は申請する。


口さがない論争者よ、

非道なる詐欺師よ、

不敵なる無信者よ、

口汚い世俗者よ。


神のみ前に沈黙せよ。




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