虹
虹
滝のごと 町にしぶけし 燃える虹
あま架かる 平和をむかえる くぐり門
えがきしは 天使の落ち羽の 絵筆なり
ホザンナと 歌える者らは 虹の向こう
踊りあう 水と光の キャロルかな
あの円の 隠れた下にも ぼくがいる
わが星は 虹をいただきて 聖者の顔
2014年の秋
金日なり ふくは銀風 緑石の林
風精よ 耳に休んで 語りませ
山の木ら よろこび舞って 天を祝う
きよき菜よ 光を飲んで 力づけ
夕顔の しょう油のしみた 煮込みかな
海に問うと ずぅぅぅばしゃらんらん と答えた
コバルトの 空を飾るや 絹の雲
あかつきと あやまり見えし 秋の夕日
この秋に み母よあなたも 触れたのか
太陽と枯れた向日葵
ひまわりの 笑みは夏に 置き過ぎて
ひまわりや 別れを告げて お辞儀する
悲しみて 雲で目をふく 空の陽かな
照り出だす あの夏の日を 思い出さんと
ああ花よ そなたは7日 われ70億年
もう行くか しばしとどまれ わが恋人よ
主人よ わたしは眠り また来ます
めざめれば さんさんと装い こがねのよう
あなたとわたし たがいは向き合い かがやきます
悟らずや これは幾度の 別れぞや
千秋の 始まるわれらは また終わった
われは待つ 笑みが戻りぬ そなたをば
大野にて
うまいうまいと バニラほおばる 大野牧場
熱き茶や 霧立つ湖面と 見えたれば
このコーヒー 黒曜石の うまみなり
秋風や 仲間をとられし ひとりの木
冷たさを 沐浴せんと 花だんの花
コスモスや 道の横の むらさき姿
静けさや 意匠にこりし 水さしかな
木よ花よ 陽に地に風に なに思うや
展べひらく 凹凸連連 青小丘
ガラス粉と 銀細工の 朝日かな
冬の朝
白む空 吹き上ぐ雪粉 痛む指
砂雪や もすそを引いて どこへ行く
はためきし 絹の雪蹴り 出勤す
巻きあがる 結晶にちる 光子かな
暁光や 雪の町を 明るくす
明けし夜の 聖歌にあわせた 雪の舞踏
よろこびを 空雪風日 歌いあげん
信仰のうた
たたえあれ 高くもひくき そばなる者よ
私を捨てて わが身を与える 正しき道
あわれみや 強きあだをも 抱きつつむ
煉獄の 友は背の岩 あがない手
血染めの手 迷わず取るや 清きみ手
物に欠き 心に富むが 恵みなり
手の物は 流れにゆだねて 岸辺に座せ
染みもなく 恵みもふかき みたまかな
人に下りて 人を満たさん