原点
ボゥシューの宝物、と呼ばれる伝説がある。
ボゥシューが、宇宙船乗組員の遺伝子を保存していて、それを盗んだ者が、乗組員の複製を作ったというのだ。
ただ、「俺がそのクローンだ」と言ってのける、豪快さんは、めったにおらず。クローンの知り合い、というより保護者であって、信頼している自分の言うことなら、そのクローンは何でも言うことを聞くのだ、という仲介者パターンが多い。
まあ、ぶっちゃけ、詐欺なのだが。
面白いのは、この詐欺、けっこう騙される輩が多いということである。
そりゃあ、宇宙船乗組員が味方についていれば、胞宇宙間も簡単に行き来できるし、その他の余得も多いだろう。クローンだと本物ほどの力はないかも知れず、その点、、完璧とはいかないかもしれない。でも、いろんな面で――特にオーバーテクノロジーの生み出す金銭的な面だが、役に立ってくれるだろう。
期待するのは勝手だし、欲の深い連中には、たぶん、魅力的に見えるんだろうが。
ようするにこの詐欺、宇宙船乗組員のクローンに、どうやって言うことをきかせるか、という重要な問題をまったく無視しているわけである。
子供のうちから手なずければ、ぐらいの発想なのだろうが。
たとえば、
ご幼少のみぎりのジムドナルドみたいなものを、手なずけようなんてのは、
どだい無理だ。
詐欺の根っこは、判断力と想像力の欠如である。
伝説も似たようなものだろう。
ジムドナルド 社会宗教学教授、タケルヒノに留守中のことを頼まれ、奮闘中
ビルワンジル 胞障壁を破壊できる唯一の男、本人はあまり意識していない
ジルフーコ 励起子体、タケルヒノ、ダーに続いて、胞障壁を超えることに成功した
イリナイワノフ 次元変換砲の射手、コンピュータですら着弾計算不能な標的を狙い撃ちする
サイカーラクラ 最初の励起子体であり、第2類量子コンピュータ、ダーの部分集合でもある、ケーキが好物
ボゥシュー 分子生物学の権威、様々な遺伝治療を施す、一説には、生きのいい死人なら生き返らせるとの評判
ザワディ ライオン、主としてヒューリューリーの運搬を担当
ヒューリューリー サイユルの紐型宇宙人、ブシドーに深い理解を示す
ダー 第2類量子コンピュータ、一度、タケルヒノたちと別れたが、再合流した、料理上手
エイオークニ 太陽系防衛評議会主任執行官、タケルヒノを助けるため、ダーと共に胞宇宙デルボラにやってきた
デルボラ 重中性子体、宇宙皇帝を名乗っていた、彼の存在自体が、すべての光子体への脅威である
ミウラヒノ 元、第一光子体、デルボラとの対決のため励起子体になった、負傷してポッド内で静養中
レウインデ 数多の星の言葉の異名を持つ光子体、友達が少ないらしい
ゴーガイヤ 光子体、ビルワンジルに敗れてから、彼を兄貴と慕うようになった
タケルヒノ デルボラの生み出した胞障壁を探索中




