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ワンダー7  作者: 二月三月
超重力の罠

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ファライトライメン(10)

 

第一光子体(ピスリーニア)が来てるって本当ですか?」

「あ、ああ、まあ、来てるけど…」

 ボゥシューは口ごもった。リーボゥディルの質問の意図がよくわからなかったのだ。

「どんな人ですか?」

「まあ、普通のおじさんだな。いまは励起子体(パウフラニア)だが」

励起子体(パウフラニア)?」

「サイカーラクラと同じだよ。いろいろ訳ありらしい」

「へぇ…」

 リーボゥディルは、ずいぶん興味があるらしい。

「ママが、会っちゃダメだ、って言うんですけど…」

 リーボゥディルは、第一光子体(ピスリーニア)情報(リーンファン)を基に推定した遺伝情報で生まれた。構成したのはリーボゥディルの母親だ。

「うさん臭い親父だからなぁ」ボゥシューのこれは本音である「オマエのママが会わせたくないのもわかるよ」

「そうですか」

 リーボゥディルは不満げだ。

 どうせ、会うな、と言っても、言うことなど聞かないだろうし、あまり興味を抱かせると逆効果だろう。ボゥシューはまるで興味の無いフリをした。

 

第一光子体(ピスリーニア)が、どこにいるか知ってます?」

 リーボゥディルはヒューリューリーに尋ねた。もう光子体(リーニア)じゃないのに、第一光子体(ピスリーニア)というのも変だとは思ったが、指し当たって、他に言いようが無い。

「おお、タケルヒノの叔父上でござるな」と、ヒューリューリー「さっき農 場(ファームゾーン)でお見かけ申した」

「叔父さん? 第一光子体(ピスリーニア)は地球人だったんですか?」

「違うでござる。血縁はござらぬ模様」

「義理の叔父さんですか?」

「いや、ミウラヒノ殿が勝手に叔父だと言ってるらしいでござる」

「…よくわかりません」

「拙者もわからぬでござる」

 ヒューリューリーが変なのは、いまに始まったことではないので、リーボゥディルは気にも止めなかったが、第一光子体(ピスリーニア)、ミウラヒノも、かなりおかしな人らしい。伝説級の人であるから、そんなものなのかもしれないが…

 そういえば、と、リーボゥディルはあらためて思った。この宇宙船(ボード)で変じゃない人っていなかったな。

 

 シールドがあるので壁を突っ切るわけにはいかない。ドアを抜けて、リーボゥディルは、農 場(ファームゾーン)に入る。

 いつもビルワンジルがいるあたりかな、と、飛んでいくと、やけにゴツイ光子体(リーニア)がいる。

 ゴーガイヤだ。

 ビルワンジルとイリナイワノフもいる。

 何か談笑しているようだが、もう1人、見たことの無い人物がいた。

 青い頭をしている。

 こんにちは、と、リーボゥディルは挨拶した。

「やあ、こんにちは、君のご両親には、いつも世話に…」

 そこまで言って、青髪頭は、はっとした顔つきになった。

「…あ、いや、ゴメン、別の子と勘違いしたみたいだ。…えっ、と、君の名は」

「リーボゥディルです」

「はじめまして、リーボゥディル、わたしは、ミウラヒノ」

第一光子体(ピスリーニア)だった人ですよね。いまは励起子体(パウフラニア)

「よく知ってるね」

「ボゥシューに聞きました。ボクの先生です」

 なるほど、ボゥシューの、と、ミウラヒノは納得したようだ。

「この人、コワい人だヨ」

 ゴーガイヤが言う。

「わたしは、怖くなんかないよ。ゴーガイヤ、変なこと言わないでくれ」

 ミウラヒノは、あわてて否定した。しかし、ゴーガイヤは、続けて言う。

「この人、宇宙皇帝の友だち。宇宙皇帝コワい。この人もおっかなイ」

「えっ、宇宙皇帝の?」

「昔の話しだよ」

 驚くリーボゥディルに、ミウラヒノは必死になって打ち消した。

「本当にずっと、昔の話しだ」

 ミウラヒノは繰り返した。

「もう、会わなくなって、何万年かな。確かに昔は友だちだった」

「何で喧嘩したんですか?」

「喧嘩、は、したことがないかもしれんな。むしろ喧嘩でもすれば、まだ付き合いもあったかもしれない」

 リーボゥディルはとても驚いた。友だちをやめるのに、喧嘩以外の理由を思いつけなかったのだ。

「仲悪いんですよね? その、アナタと宇宙皇帝、って」

 光子体(リーニア)の間では、常識となっていることだが、あえてリーボゥディルは尋ねてみた。

「うーん、どうなんだろう?」

 ミウラヒノは考え込んで、なかなか返事をしてくれない。リーボゥディルは、よくわからない理由で、どきどきしながら答えを待っていた。

「デルボラのことを悪く思ったことは、実は、一度もないんだ」

 ミウラヒノの言葉に、リーボゥディルはさらに驚いたが、回りを見回すと、ビルワンジルもイリナイワノフも肯きながら、黙ってミウラヒノの言うことを聞いている。ゴーガイヤは、よくわからない。

 ミウラヒノは、なおも言葉を続けた。

「本当に、何故、こんなことになってしまったんだろう? わたしが悪いのは確かなんだが、思い返してみても、少なくともわたしにとっては、デルボラが悪かったことなんて、無かったような気がするよ」

 

 

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