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ワンダー7  作者: 二月三月
運命の7人

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13/251

4:3(2)

 

「ジルフーコは地球に降りますか?」

 めずらしくサイカーラクラから声をかけてきた。

「ボクは降りないけど、サイカーラクラは?」

「私も行きません」

 ちょっと沈黙、自分から話しかけた手前、それだけでは少し気まずかったのか、サイカーラクラはもう一言続けた「タケルヒノにも迷惑でしょうし」

「迷惑ってことはないと思うよ」ジルフーコはメガネの仮想スクリーンに着陸ポッドのデザインを大写しにしている「むしろ、サイカーラクラが行って、他の人が行くのあきらめれば、タケルヒノとしては大助かりじゃないのかなぁ。サイカーラクラなら面倒起こさないだろうし」

「他の人たちはあきらめたりしないと思います」

「うーん、まあ、そうかな」

「ジルフーコは、もう地球に思い残すことはありませんか?」

「そこまで、ばっさり、何もないってこともないけど…」ジルフーコはサイカーラクラを見て、ちょっぴり微笑んだ「実際問題として、下界でトラブルがあってタケルヒノが助けにいったら、この宇宙船(ふね)動かせるのボクだけだからなあ、最初から降下できるメンバーには入ってないんだよ」

「それは、すこしだけ、気づいてました」サイカーラクラは言った「私も体をきたえなければいけませんね」

「え?」

「冗談です。気にしないでください」

 冗談には聞こえないけど、ジルフーコは思った。それにしても、あの連中、あれだけ舞い上がっていったいどういうつもりなんだか。タケルヒノも苦労するよな。

 

「だからさ、タケルヒノは考えすぎなんだよ」

「オマエは考えなさすぎだ」

「いっしょに説得に行こうぜ。三人も四人も同じだから、迷惑なんかぜったいかけない、ってタケルヒノに言いに行こう」

「いやだ、オマエといっしょだと、同類に思われる。だいたいオマエがおとなしく宇宙船(ふね)に残れば、全部解決じゃないか、そうだ、それがいい、オマエ残れ」

「俺、地球でやらなきゃいけないことあるんだよ」

「やらなきゃいけないこと、って何だ?」

「知り合いに自慢するんだー。俺、宇宙船乗ったんだぜ、って」

「死ね、オマエ、いっぺん死ね。ああ、この間の宇宙遊泳のとき、タケルヒノは、なんでこんなヤツ助けたんだ」

 

「やっぱり迷惑かなあ」

 第2区画で、イリナイワノフはビルワンジルに話しかけた。

「いやー、別にいいんじゃないか」ビルワンジルはいつものように草に寝ころんでいる「ジムドナルドが残ればいいと思うよ、オレは。それがいちばん面倒がない。それに…」

 ビルワンジルは体を起こした。

「大事な用なんだろ? イリナイワノフは」

「大事っていうか、会いたい人がいる。修行し直しに…、あ、その前にサイカーラクラに話聞かないと…」

「サイカーラクラ?」

「あ、それはこっちの話で…」あせったイリナイワノフは、ごまかそうとして逆に聞き返した「ビルワンジルはどんな用?」

「ネコの餌が…」

「ネコ?」

「でっかいネコみたいなもんなんだ。タケルヒノに生肉はダメだって釘刺されてるから、なんとかしないと…」

「あの…、言ってること、よくわからない」

 とまどうイリナイワノフにはおかまいなしで、ビルワンジルは夢中で話し続ける。

「あ、すまん、イリナイワノフだと専門外か。誰に聞けばいいんだろう。ボゥシューが分子生物学だから、ボゥシューに聞くか…」

――ネコの餌

 イリナイワノフは絶句したまま、ビルワンジルを見つめている。やっぱり、この人もオカシイ。

 



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