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ワンダー7  作者: 二月三月
光子体を追え

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薄暮の御廟(3)


「話しって何よ?」

 とりあえずイリナイワノフ、聞いてみたのだが、ゴーガイヤは要領を得ない。

「よくわからないんだ」

「話したいことがあるんじゃないの?」

「オレ、姉さんと、兄貴と、話したいんだ」

「だから、何を話したいのよ」

「…わからない」

――こっちのほうが、わけわかんないよ、もう

 イリナイワノフはブチ切れ寸前である。

「あのさ」

 イリナイワノフでは埒があかないと思ったのか、ジルフーコが口をだす。

「いま、ちょっと取り込み中なんだけど、後じゃだめなの?」

「ずっと、待ってた、いつも無理。いま、会える」

「ああ、シールドか」

 ジルフーコは、やっと納得がいったようだ。

「いますぐは無理だけど、48時間以内に何とかするよ。いつでもは、ダメだけど、ときどき会えるようにする」

「ほんとうか」

 ゴーガイヤは首を引っ込めてぐるぐる回り出した。

 うれしい、のかもしれない。

「そんなこと言って、大丈夫なのか?」

 ビルワンジルが言う。ビルワンジルでなくても心配なところだ。

「まあ、デブリ対策でずっとシールドかけっぱなしにしてたけど、そろそろ情報体(リーンファノア)とも話し合わなきゃいけない頃合いだしね。リーボゥディルみたいな無茶な真似されても、こっちだって困るし、ちょっとタケルヒノとジムドナルドにも聞いてみるから」

 ジルフーコはタケルヒノとジムドナルドとの回線を開いた。

 

「やあ、シールドは切ったよ。そっちの調子はどう」

「いきなり通りすぎる光子体(リーニア)が5倍くらいになったぞ」

「こっちは、あまりかわらないな。場所によるんだろうな、もっとも、こっちは遠巻きに見てる光子体(リーニア)ばかりだからかもしれない。いま、タルなんとかのところに行く途中」

「こっちはゴーガイヤが来てる」

「何でゴーガイヤが?」

「どうも、イリナイワノフとビルワンジルと話したいらしいんだが、要領を得なくて困ってる。時間がかかりそうだが、ここでは難しい。で、相談なんだけど。シールドを部分解除して、光子体(リーニア)の入れるスペースを宇宙船に作りたい」

「お、いいな、それ。こっちもリーボゥディルの親を捕まえてから、どこで話すか迷ってたんだ。すぐできるか?」

「すぐは無理だな。宇宙船(ボード)に帰るのだってけっこうな時間がかかるんだ」

「僕の乗ってきた小宇宙船(ダート)はどうだ? ビオトープゾーン側は無重量にしてしまったんでグチャグチャだが、居住区のほうは使えるはずだ」

「いいね、それ。それなら即席でなんとかなりそうだ」

 

「話はついたよ」

 ジルフーコは回線を切り替えた。

「ああ、そこのキミ、そう、ゴーガイヤ。後で来てくれなんて言っても我慢効かないだろうから、一緒についてきてよ。そのかわり宇宙船に着いてボクが、いいよ、って言うまでは、話しかけないこと。いちいち説明してるヒマないからね。話は小宇宙船(ダート)に着いてからにしてくれ」

 

「夫婦の光子体(リーニア)を知らないか?」

 ジムドナルドの呼びかけに何体かの光子体(リーニア)が振り向いた。

光子体(リーニア)の夫婦だって?」

 通りすがりの光子体(リーニア)が逆に聞いてきた。

「ずいぶん、珍しいモン探してるんだな。どうしてだ?」

「子供を預かってるんだ」

「家族だって? そりゃまた、珍しさ、とびっきリだ」

 ジムドナルドに尋ねた光子体(リーニア)が、あたりに触れ回った。

「おーい、夫婦とか、それくらい仲のいいヤツに心当たりのあるのいないか?」

「それ、難しいな」

 横から飛んできた光子体(リーニア)が言った。

「仲の悪い夫婦っぽいのなら、知ってる」

「ちょ、何だそれ」

 最初にジムドナルドに声をかけてきたほうが笑った。

光子体(リーニア)なのに、夫婦で仲がわるいとか、意味わからんな」

「子供が見つからないとかで、大喧嘩してたんだよ」

「それだ」

 ジムドナルドが声を上げた。

「そいつらどこにいる?」

「ゲート2つくぐった先だ」

 後から来た光子体(リーニア)が答えた。

「いまもいるかは知らんぞ」

「十分だ。ありがとう」

 ジムドナルドは光子体(リーニア)たちに礼を言うと、先へと飛んだ。

――それにしても

 シールドを解き放っただけで、これだけ対応の違う奴が増えるとは。

 パラレスケル=ゼルは、かなり、歪な状態になってたらしいな、とジムドナルドは思った。

 


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