継点
陽気な紐型宇宙人ヒューリューリーと、料理好きのコンピュータ、ダーが加わって、宇宙船はますます賑やかになった。
もうこの頃には、彼らの胞障壁突破は、近接胞宇宙にも情報として行き渡っている。情報キューブの単一連結性からすれば、もっと早く、情報の均質化がなされてもよさそうなものだが、おあいにくさま、大抵の奴らは情報キューブなんか読まないのだ。
さて、少しマヌケな奴らと、もの凄くマヌケな奴らで構成される、我が近接胞宇宙の愛しき住人たちも、こういう事実が露見すると、ろくでもないことを考えはじめるわけである。
曰く、
なんとか彼らを利用して、他の胞宇宙と行き来する方法はないものか?
自分より頭の良いやつを利用してやろう、というのは、どうやったらそんなことができるのか、という点にさえ目をつぶれば、とても魅力的な思いつきに違いない。
宇宙船乗組員だけでなく、第2類量子コンピュータが同伴していたことも、よこしまな夢を膨らますには手助けになる。
曰く、
コンピュータならなんとかなるのではないか?
何がどう、なんとかなのか? 具体的に問いただしたら、おそらく答えは返ってこない。
そんなこんなで、噂は噂を呼び、夢はいやます膨らむわけだが、そんな周囲の憶測とは関係なく、宇宙船は、胞障壁突破にまったく興味を持たない光子体だけの胞宇宙、パラレスケルへと向かう。
そして、やっと気がつくわけだ。彼らが自分たちのいる胞宇宙にやってこない限りは、何も彼らから得るものなどないことを。
彼らの伝説は、やっと始まったばかりだ。そして人々は、自分たちの空を見上げては、彼らの来訪を待ちわびる日々を送り続けることになった。
タケルヒノ(地球人)
ボゥシュー(地球人)
サイカーラクラ(励起子体)
ビルワンジル(地球人)
ジムドナルド(地球人)
イリナイワノフ(地球人)
ジルフーコ(地球人)
ザワディ(ライオン)
ヒューリューリー(サイユル人)
ダー(第2類量子コンピュータ)
レウインデ(光子体)
ゴーガイヤ(光子体)
宇宙皇帝(重中性子体)
第一光子体




