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ワンダー7  作者: 二月三月
運命の7人
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始点

 

 もちろん、皆、それ(丶丶)には気づいていたのだが、そうだとしても、あまり話題にならなかったのには理由(わけ)がある。

 

 実際、それ(丶丶)は見た目でもほぼ月の直径と同じ長さがあって、それが夜空のど真ん中を、ゆっくりと東から西へと移動していくのである。棒状のそれ(丶丶)は、よく見ると中央部と両端が膨らんでいて、しかもそれが約1分で1回転している。

 銀色に光るそれ(丶丶)は、昼間ですらかなりはっきりと見ることができたから、ましてや夜は、文字通りどこからでも(丶丶丶丶丶丶)見えた。

 誰にでも見えたのだから、噂ぐらいにはなりそうなものだ。実際、噂にはなったのだ。けれど、たとえば、テレビとかラジオとか、はてはアマチュア無線のようなものまで、それ(丶丶)についての報告は、すっぽり消えた。デジタルでもアナログでもそうだ。

 電波を使わなければいいだろう、新聞、雑誌は、そう考えたが、刷り終わった紙面のその部分だけが消えた。

 そうそう、君たちお得意のインターネットも例外ではなかった。アップロードした写真もすぐ消えるし、そのものズバリはもちろん、ぼかした表現ですら、消された。

 手刷りでビラをくばろうとしたとんがったヤツもいたが、そもそもデジカメに映らなかった。アナログ写真は撮れたけど、コピーもスキャナーの取り込みもできなかった。

 

 もちろん、こんなミステリアスな話は皆の心を掻き立てから、誰もが、口々に噂した。

 でも、それだけだった。

 テレビもインターネットも、全部、消されたから。

 木版だけで刷ったのはなんとかなったらしいという話しはあった。絵が下手で何が何だかわからなかったというオチがついていたけど。これも噂だけだが。

 誰が何のために? 皆、思ったが、そんなこと誰にもできるわけはない。たぶん、それ(丶丶)以外には。

 それで結局、皆は噂するのをやめた。語ることをしなくなった。

 暗い顔で、空に浮かぶそれ(丶丶)見つめながら。

 

 そして、それ(丶丶)は、いつの間にか、いなくなった。

 

    …

 

 事の真相がわかったのは数ヶ月後だ。それ(丶丶)は「 宇宙船(ふね)」だった。

 7人の少年少女が「宇宙船(ふね)」に乗って帰ってきたのだ。

 おかげで地球は、ほんのちょっぴり騒がしく豊かになった。

 彼らのおかげで「宇宙船(ふね)」のことは少しわかったけれど、彼らのことは誰にもわからない。

 

 おそらく、彼ら自身にも。

 

 


タケルヒノ   男性  14歳  日本

ボゥシュー   女性  14歳  中国

サイカーラクラ 女性  15歳  インド

ビルワンジル  男性  14歳  ケニア

ジムドナルド  男性  15歳  アメリカ

イリナイワノフ 女性  14歳  ロシア

ジルフーコ   男性  13歳  フランス

 


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