01 白馬の王子様にあこがれてる
私はただの女子高生だった―――
なのに
なのに
「……うふふふふ、さあわたしの、ととととりこにななななりなさふべは!!」
バチコーン!!
「あなたは真面目にやる気があるのかしらん?」
「ふいまへん。だって恥ずかしいですもん!こんな平凡な用紙の容姿の私が私の虜になりなさいとかいえるわけがないよ!みてこの全身の鳥肌」
「甘えてんじゃないわよ!」
口答えする私に再び鉄拳制裁が落ちる。
「ぐひぇ」
なんでこんなことになってしまったのか今から一ヶ月ほど前の話である。
私は花の女子高生としていつもの通学路でいつものように通学していた。だけどいきなり手をつかまれて意識を飛ばしてしまったのだ。そして目が覚めたときにはなぜか”彼女”の眷属となっていたのである。意味不明すぎてまったくもってついていけない。だいいちあなたはなんなんだ。眷属ってなに?なんて聞いたら一言
『100人の男をあなたの奴隷となさい!!』
ほんと意味不明。
そしてこの”彼女”もまた意味不明である。
彼女はすばらしい筋肉の持ち主である。鍛え上げられた肉体に体中に残る傷跡。極めつけは人を射ぬかんばかりの目力だ。夜を思い出させる黒髪に紫の瞳はどうにも女にはみえない男前ぶりである。しかし彼女は自分は女だと主張する。意味わからんほんと。どうみたっておとk
バチコーン!
「あなた、余計なこと考えている暇がよくあるわね」
彼女の鉄拳制裁はほんといたいでふ。いつか私の頭は二つにぱっくりわれちゃうんじゃないかと思うのですよ。うう悲しい奴隷の宿命です。
そんな奴隷である私だがどうにも吸血鬼というものになったらしい。こりゃ噂にきくチート能力ktkrなんておもっていたけどそんなチート能力でもなかった。彼女の説明いわく私はこの世の男という男を血をもって支配できる存在なのだという。なんで男限定?と思ったらこの世界の吸血鬼は異性を虜にできるものらしい。そんな中私の力は強力らしい。私が本気になれば天下を取れるだろうと彼女はいう。え!マジで!!なーんておもったがその力の使い方が私には無理だった。
「さあわわわたしのとりこと、な、り、このみにちゅうせいを……やっぱ無理!!こんな恥ずかしい台詞いえるわけがないわ!!」
そう、力を使うためにはクッサーーーイ台詞を吐き一時的に奴隷となった男の首に噛み付いてその血をすするのだという。もうなんかね台詞でこんだけまいってるのにさらにはその男の首にかぶりつかなきゃいけないのよ。この平凡な私が!!むりったらむり!
「はぁ。まあいいわ今日の訓練はこれくらいにしましょうか。わたしもつかれたわ」
彼女は心底お疲れのようである。いやぁすんませんなぁほんと。疲れた顔をみてざまあとかおもってるとまた鉄拳制裁が落ちた。
「ちょ!まじで私ぱっくり二つに割れちゃいますって!」
「いや、それはそれでべつに好都合よ」
「なんやて!」
「なんでこんなやつ拾っちゃったんだか。あーあまったくまいっちゃうわよ。街中でエクソシストにおわれ瀕死状態のあなたをこうやって飼ってあげてるっていうのにぜんぜん使い物にはならないし」
エクソシスト。それは世にはびこる悪魔と呼ばれる存在に立ち向かう団体の総称だ。この世界には多くの悪魔がおり日夜人を襲うのだという。そして私もそんな悪魔の一員なのである。まったくもって不本意だ。どうせトリップしたならエクソシスト側がよかった。なんたってエクソシストのトップは私の好みドストライクのイケメン王子なのである。白馬が似合う金髪碧眼、そして高身長。くわえてめちゃくちゃ強いらしい。そりゃエクソシストのトップだもん。ああいつかお会いしたい。そして禁断の恋に落ちるのよ。
『ああだめですわ!私と貴方は敵同士。このような関係認められるはずがございませんわ!』
『ええもちろんですとも!しかし僕のこの思いはとめることはできないのです!』
「とかなーんんちゃって!!ぐふふふ。……そんなかわいそうなものを見るような目やめてくださいよ。私だって夢みたいんです」
「いまわりと本気で貴女を拾って眷族とした自分を後悔してるわ」