偶然という名の運命ver瑠衣
「おかさん!おとさん!おれ!いってくるぞ!」
陸は勢いよくドアを開け、
近所の公園へと走って行った。
「寒いのに陸は元気ね~。たくましい子に育ったわ!さすが私の息子♪」
「なんでも自分の自慢にする。………龍磨は恰好良く育ったな。さすが俺の息子だ。」
「ま!驚いた!よくそんなこと恥ずかしげもなく言えるわね!龍磨の方が全然かっこいいわ♪バレンタインのチョコ見た??もうすんごい量よ!」
「おい…。お前は俺の顔に一目惚れしたんだろうが。」
「あら♪よく覚えてるわね。そうそう!龍磨バレンタインの日、いっぱい貰ったチョコをリビングの机にばらまけて皆で食べてって、くれたのよ。でも一つだけ龍磨チョコを抱えて部屋に行ったの!!」
「………へぇ。それは面白いな。」
「でしょ!本命に貰ったチョコと考えるべきよね?!」
「そうだな。……あいつも隅に置けないな。」
「もおお!龍磨も恋してるのね!彼女連れてくるの今から楽しみだわ♪」
「俺も見たいな。龍磨は女っ気がまったくなかったからな~。そういえば龍磨は今日もバイトか。」
リビングで龍磨母と龍磨父は
ティータイム中。
日曜日はいつも2人でお喋り。
もういい歳なのに、
相変わらず仲良し夫婦だ。
龍磨も将来こんな夫婦になりたいと
密かに思っているのだ。
ーみどりの森公園ー
陸は地面にしゃがみ込み
何かを探していた。
「…にきぃ……あにぎごべんなあ………ううう。」
「ふう。寒いなあ。お父さんったら大切な書類忘れるなんてドジなんだから…。……あれ?」
瑠衣は父の忘れ物の書類を
届けに隣街まで来ていた。
そして帰り道で男の子が公園で
しゃがみ込んでいるのが見えた。
こんな寒い中1人でいることに
心配になり、男の子へと近付いた。
「ぼく、寒いのにどうしたの?」
マフラーをつけていなかったので、
瑠衣は自分のマフラーをふわっと
男の子につけてあげた。
すると男の子はゆっくりと
顔をあげた。
「…………はっ!」
私は男の子に魅入ってしまっていた。
とても可愛らしくキラキラした男の子で、少し芦屋くんに似ている。
でもそんな男の子は鼻水を垂らしながら涙を流していた。
「ぼく!どうしたの??どっか痛いの??」
「……う。ぁにぎがらもらっだ…なくじだ………う、うぎゃああああ!」
男の子は瑠衣に抱きつき
大泣きしてしまった。
驚いた瑠衣だが、
瑠衣の服をキュッと掴んで
泣いてる男の子を見て、
男の子には申し訳ないが
きゅんときてしまった。
「ぼく!私も手伝う!一緒に探そう??1人より2人の方が見つかるよ!私が絶対見つける!」
「……う、う~。ひぐっ……ねえちゃ………ああがとお」
そして失くし物の特徴を聞き出した。
なんでもお兄さんから誕生日プレゼントとで貰った今流行りのヒーロー物のキーホルダーだそうだ。
「おで、ずっとかばんにつげでだんだ。でもこのこうえんでふうたにみしぇるためにとってじまんしだんだ…。ぞのあどあそびにむぢゅーで……」
「そう…。そのヒーローが大好きなんだね…。」
「………ちがうぞ?おれ、エースレンジャーじゃなくてブーブーライダーがだいすきだ!!」
「え……?でも失くしたキーホルダーはエースレンジャーだよね?」
「おお!そうだぞ!」
「そっかあ。じゃあエースレンジャーも好きなんだね!」
「エースレンジャーはふつうだ!…でもあにきがくれたから!」
男の子はまたもや泣きそうな顔をしている。
「…ぼく。お兄さんが大好きなんだ。」
「おお!!あにきだいすきだっ!あにきはな!すっごいかっこいいんだぞ!それとやさしくてつよくておれのヒーローなんだ!」
「うわあ!凄いお兄さん!かっこいいね~!」
「だぞ!へへへ!……だからあにきにみつけたのみせなきゃ。きのーあにきにゆったらまたかってくれるってゆってたけど、きっとかなしいんだ…。おれのためにかってくれたのに、あにきがかわいそうだ!」
「優しいねぼく。偉いぞ!ぼくお名前は?」
「おれ、おれのなまえりくだ!ねえちゃは??」
「りく君かあ。かっこいい名前だね!私は瑠衣って言うんだ。」
「るうねえちゃ。へへっ」
そうして公園の隅々まで
探した。
瑠衣は草むらの方を探してると
何か光ってるのが見えた。
「あっ!!」
その光物の正体は、
エースレンジャーのキーホルダー
だった。
「あああ!!!おれのキーホルダー!」
「うんうん!よかったねりく君!!」
「…るうねえちゃーー!!!」
どうやら私はりく君に
気に入ってもらえたみたいだ。
見つけた時からずっと
私にべったりだ。
私が嬉しがってるのはゆうまでもない。
「おれ!あにきのとこいく!」
「お家かな??」
「あにきばいとだっ!そこいく!みつかったっていいにいくんだ!」
「バイト先かあ…。りく君一人じゃ危ないなあ……。よし!私も着いて行っていいかな??」
「おう!いいぞ!おれがつれてってやるぞ!!」
数分後、
瑠衣は思った。
【ほんとりく君に着いてきてよかった…。危ない道ばっか。】
陸は龍磨に会えることに目を
キラキラさせている。
【あにき!おれ!あにきがくれたのみつけたぞ!なくしてごめんな!】
「ここ??」
「だぞ!ここであにきがはたらいてんだ!」
そこはカラオケ店だった。
お兄さんにはどうやって会おう。
……あれ?
りく君がいない。
あ!りく君がカウンターの人に
話しかけている。
するとりく君は私に手招きをした。
「り、りく君?」
「あにきいまいそがしいらしいぞっ。だからなかでまっててっておにさんがゆってた!」
カウンターの男の人は
私を見るなり顔を赤くし
こう言った。
「あ、あの!せっかく来てくれたんだしパフェ奢ります!もちろんこの男の子にも!なのでゆっくりしてって下さい!あ。席代も俺が払うので気にせず楽しんでって下さい!」
「え?そんな悪いです。じゃあお兄さんを待たせてもらってもいいですか??」
「は、はいぜひ!ごゆっくり!」
「でもお金は大丈夫です。気にさせてしまってごめんなさい。」
「いえいえいえいえ!!」
私達は部屋へと入って行った。
広々していて、
2人ではもったいないぐらいの部屋だ。
「りく君!中に入れてよかったね!外すんごい寒かったもんね?」
「うう!でもだいじょぶだ!おれはあくのだいまおおだからな!」
「りく君……。ブーブーライダーが好きならヒーローに憧れるもんだと思ったけど、敵が好きなんだ…。」
りく君はほんとに心の優しい子。
半日いるだけでわかる。
私がマフラーをりく君に貸したから
寒がっていると、
私に抱きついてマフラーがわりに
なってくれた。
私が草むらを探して指を切った時には
だいじょぶか?!だいじょぶか?!
と涙目になりながら私の周りを
うろちょろしていた。
キーホルダーに関してもそうだ。
プレゼントしてくれた相手の事を
思いやって一生懸命探していた。
悪の大魔王と言っているけど、
私には正義のヒーローに見える。
そんなりく君がとても愛おしく思った。
お兄さんはりく君のこと
凄い大事に思ってるだろうなあ…。
「失礼します。チョコレートパフェお持ち致しました。」
「あ。さっきの。」
「は、はい!あのこれ…。俺の連絡先なんですけど、何か困ったことあったら連絡して下さい!」
「わ。ありがとうございます。優しいんですね。」
「そんなっ///では、失礼します!」
瑠衣は連絡先が書かれた紙を
鞄に入れた。
りく君はパフェを見つめて
キラキラさせている。
「るうねえちゃ!おれ!たべていいのか!?」
「うん!食べな食べな!あの人親切だね。ほんとに2つ持って来てくれた。」
「はぐはぐはぐはぐ…」
「…可愛いなありく君。」
りく君はパフェを数分で
食べきった。
でもまだ足りないのか
メニューを見てよばれをたらしている。
「りく君。何でも食べていいよ?好きなの選んで?」
「う!いいの!?」
「うん!りく君今日頑張ったもんね!ご褒美あげちゃう!」
「へへへへ///じゃあるうねえちゃはなにがたべたい?!」
「私が食べたいの選んでくれるの?優しいね〜!りく君が食べたいやつがいいな!」
「わかったぞ!おれにまかしとけ!」
そうしてりく君が選んだのは
大盛りポテトだった。
ポテトが来るのにあまり
時間はかからなかった。
コンコン…。
「失礼します。大盛りポテトでございま……!!」
「…!!!」
「あ!あにきいいいい!!」
りく君はお兄さんに抱きつき
スリスリとしている。
ほんとに可愛い。
だが私達は硬直してしまっていた。
なぜならお兄さんは、
芦屋くんだったからだ。
カラオケ店の制服がとっても
似合っている。
ワイシャツから少し見える鎖骨は
とても色っぽく感じる。
髪の隙間から見えるピアスが
キラリと光り、私の心臓を
大きく高鳴らせる。
「あ、芦屋くん……?!」
「城内さん………?!」




