表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元・勇者引っ越しセンター  作者: Kahiyuka
第15章 わんにゃんドラゴン大移動
89/126

第15章 3. 運搬中の大行進

ようやく荷物と動物を馬車に積み込んだ一行だったが、道に出た途端、街の空気は一変した。


「わんわんっ!」

「ぴーちくぱーちく!」

「にゃーお!」


犬と鳥と猫が一斉に鳴き始め、馬車はにぎやかな大合唱の中心になった。

通りを歩く人々が立ち止まり、子どもたちは目を輝かせる。


「わぁー! 移動動物園だ!」

「お馬さんの上に犬が乗ってるー!」


ティティは子どもたちに手を振りながら、得意げに腰に手を当てた。

「ふふっ、わたくし、完全にアイドル扱いですわ♡」


「いやいや、人気なのは動物の方だろ」ライクが呆れた顔でつぶやく。


一方でルーンはというと、金魚鉢を抱えたまま足を滑らせ、水を頭からかぶっていた。


「うあぁぁっ! オイラびしょ濡れだぁー!」


子どもたちが爆笑しながら声援を送る。

「がんばれ猫ー!」

「おさかな守った!」


「ぐぬぬ……なんでオイラが“芸猫”みたいな扱いされてんだよ!」


それでも金魚は無事で、ルーンの腕の中で元気に泳いでいた。


グレンは無言のまま、犬二匹と猫一匹を抱えて荷台に乗せる。

その絵面はどこか様になっていて、見物人から小さな拍手が起きた。


「……やっぱりグレンさま、かっこよすぎますわね」

ティティはうっとりとつぶやく。


「おい見ろよ、旗がなくなった!」

ライクの声に振り向くと、先頭で振っていた旗をフェレットがくわえて逃走していた。


「待ちなさーいっ! それは隊長専用の旗ですのー!」

ティティがスカートをひるがえして追いかける。


「ったく、しょうがねぇな……オイラも行くか!」

ルーンもしっぽを振り立てて飛び出した。


子どもたちが拍手を送りながら、センターの馬車はまるでお祭りの山車のように街を進んでいった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ