表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元・勇者引っ越しセンター  作者: Kahiyuka
第14章 空に残された記憶
82/126

第14章 2. 大陸が浮かんだ日

老書庫番の声は、低く静かに響いた。


「大陸が空へ持ち上げられたのは、もう遥か昔のことじゃ。

 地上を覆った大戦争の終わり……人も魔も、限界まで戦いを重ね、互いに滅びかけておった」


ティティが身を乗り出す。

「つまり、戦争であの大陸が……?」


「正確には、大戦を止めるために放たれた禁呪の一つだ」

老人は瞼を細め、記憶を手繰るように続けた。


「大地に眠る浮遊石が目を覚まし、膨大な魔力が溢れ出した。

 そして、大陸の一部が切り取られるようにして……そのまま、空へ昇っていったのじゃ」


ライクは思わず拳を握った。

「戦争を終わらせるために、大陸を浮かせた……?」


「そうとも。地上に残してはならぬものを、空へと退けるためにな」

老人は杖の先で石畳を軽く叩いた。


「人々は最初、それを“神の奇跡”と呼び、誰も近づこうとはせなんだ。

 だがやがて、そこに城を築き、守りの塔とした。……それが浮遊城じゃ」


「最初から“倉庫”だったわけではないんですね〜」

ミーナが小首をかしげる。


「うむ。あれはまず、“最後の避難所”だったのだ」


老人の目は遠くを見つめていた。

まるで、まだ空へ昇ったばかりの大陸が、そこに浮かんでいるかのように。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ