表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元・勇者引っ越しセンター  作者: Kahiyuka
第12章 道の駅と温泉猿の乱
75/126

第12章 5.港町の宿へ

日が傾きはじめたころ、ニャンフレア号は港町の石畳をゆっくりと走っていた。

潮の香りが濃くなり、波の音が街のざわめきに混ざって聞こえる。


「わぁ〜っ……海がきらきらしてますの♡」

ティティが窓から身を乗り出し、夕陽に染まる水面を見つめる。


「魚……!」

ルーンの瞳も同じ方向に釘付けだ。



港町の外れ、小高い丘の上に、その宿はあった。

木造三階建ての建物は白い壁と深緑の屋根を持ち、

崖下には港と広い海が一望できる。


「本日お泊まりいただく“潮見の湯”でございます」

出迎えた宿の主人は、笑顔で深く一礼した。


館内は磨き上げられた廊下と、潮風が通り抜ける大きな窓が印象的だ。

客室は海側と山側に分かれ、どちらからも景色が楽しめる造りになっている。



「こちらがお部屋でございます」

案内された海側の部屋は、窓を開けると真下に港の灯がきらめき、

遠く水平線の上には、かすかに浮遊大陸の影が見えた。


「……さっきより、近くないですか?」

ミーナが小声で呟くが、ティティはすでに窓際でポーズを取りながら

「明日の朝はここで写真撮りますの!」と張り切っている。



夕食まで少し時間がある。

荷を解いた一行は、それぞれ自由時間に散った。


ティティとミーナは温泉の下見へ、

ルーンは港の魚屋へ、

グレンは無言で宿の周囲を一周し、

ライクはバルコニーに立って海風を受けていた。


このあと訪れる“お湯の時間”が、

思いがけず賑やかで、少しだけ特別なひとときになるとは——

この時のライクは、まだ知らない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ