表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元・勇者引っ越しセンター  作者: Kahiyuka
第8章 まさかの一撃ですの!?
52/126

第8章 6.わたくし、目立ちたかったわけではありませんのに……!

王都に戻ったのは、すっかり日が暮れたころだった。


ゴーレムの残骸を片づけ、ひかり石をくるんで馬車にくくりつけ、崩れた道を戻る。

ほこりと泥にまみれた一行の姿は、どう見ても「引っ越し屋」というより帰還した討伐隊だった。


「やっと帰ってこれたな……」


ライクが肩を回しながら宿の前で一息つく。


「今日はさすがに“搬入完了”の判子もらっていいと思いますの」


ティティはスカートの泥をパタパタ払いながら、疲れきった顔をしていた。


「で、その魔法の話だけどさ……あれ、ほんとにおまえが?」


ルーンが遠慮がちに聞くと、ティティはぷるぷると首をふる。


「わたくし、いままで一度も“詠唱なしの魔法”なんて使ったことありませんのよ……」


「うん……だからこそ、ちょっと話題になってるみたいでして……」


ミーナがそっと指差す先、宿の前の掲示板には、貼りたての紙が一枚。


【目撃情報募集中】

王都南東の丘にて、巨大魔法発動の痕跡。

炎属性・光属性・分類不明。

詠唱なしの高密度魔力波動を確認。

詳しい情報をお持ちの方は、治安ギルドまで。


「な、ななななんでこんなにでかく書かれてますの!?!?」


「“詠唱なし”と“丘が割れた”のセットで、けっこうな騒ぎらしいよ?」


「もしかして……わたくし、王都で“危険人物”扱いされてる……?」


ティティが頭を抱える。


「えっへへ〜。だいじょぶです〜。“危険”じゃなくて、“話題の”って言ってました〜」


「それもイヤですのーーっ!」


ルーンは紙を指でくるくる回しながら笑う。


「“元・勇者引っ越しセンターの魔法使い”、ちょっと名前出てきてるぜ、ティティ☆」


「わたくし、目立ちたかったわけではありませんのにぃ〜!」


その叫びをBGMに、ライクが荷馬車の荷台をトントンとたたく。


「よし、明日はちゃんとした“普通の引っ越し”が来るといいな」


誰もがそれを願いながら、

でもなんとなく――無理かもしれない気もしていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ