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第64話 ダンジョン学校

 俺の名前はユウト。王立迷宮実践学園、通称“ダンジョン学校”のダンジョン管理人の息子で、まだ何の身分もない。


 3歳ぐらいから、俺は放課後になると、親父の仕事にくっついてダンジョンに潜った。もちろん、規則には違反しているが──。


 血の匂いが染みついた石畳をモップで磨き、取りこぼされた魔石を拾い集め、傷ついた雑魚モンスターにはトドメを刺し、暴れるボスモンスターに電撃棒を突きつけて檻に押し込む──そんな日々が日常だった。


そうやってモンスターと向き合い続けて5年。

気づけば俺は、ダンジョンの最深部まで一人で行けるようになっていた。魔物討伐数4桁超え。

ここの教師連中にも、正面から俺に勝てる奴はそういないだろう。


だから――俺は、自分が最強に近い存在だと、どこかで思ってた。


……あいつらに会うまでは。


その日、ギルド推薦で特別パーティーが来るって話は聞いてた。

「なんか、災厄の王を封印した連中らしいぜ」って。

俺は笑ったね。「話盛りすぎだろ、そりゃ」って。


ところが、現れたそいつらを見て、まず驚いた。

リーダー格の少年――リクってやつは、ただ立ってるだけで空気が違った。あの感覚は、昔一度だけ味わったことがある。

“殺し合い慣れしてる”奴の気配。しかも、あれは……人を殺したことのない目だ。なのに、強い。


次に目が行ったのは、銀髪の剣士。リリア。あの腰の剣……まさか、噂で聞いたファルベラの“封刃”か?

剣を抜いてもいないのに、空気がピリついてる。剣気だけで小型モンスターなら気絶しそうだ。


そして、最後にいた黒髪のダークエルフの少女。

……気配を完全に消している。忍者っぽいが規格外には違いない。ていうか、その精霊猫なんだよ。猫のくせに俺を見て「フン」って鼻で笑ったぞ。精霊獣クラスか?


ダンジョンの入り口で俺は、たまらず声をかけた。


「おい、お前ら……マジで、あの“リク”か?」


「うん、たぶん合ってるよ」と、あっさり返される。


その瞬間、俺の中で何かが崩れた。 

“俺が一番強い”なんて思ってたのは、井の中の蛙だったってことを、このとき痛感した。


リクたちは軽々とダンジョンの深層部に入り、俺の見たこともない連携でモンスターを圧倒していく。

俺? その後、黙ってモップ持って床を拭いたさ。


──ああ、思い出した。

俺が最初に憧れたのは、こんな「本物の冒険者」だった。


また会おうぜ、リク。次は、俺も“本気”で挑むからな。


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