第59話 王からの褒美
封印作戦は、見事に成功を収めた。
岩が積み上がり、災厄の王の力は閉じ込められ、世界に再び静けさが戻った。
だがその代償として――リクは、気を失ったまま地に伏していた。
魔力の枯渇、極度の疲労、そして何より――あの過酷な任務の中で、誰よりも前線に立ち続けた反動だった。
王都ミレストの医務院にて、リクは静かに眠っていた。
その傍らには、仲間たちが交代で看病につき添っていた。
――そして、一週間後。
リク:「……ん……ここは……」
リクが目を開けると、窓から差し込むやわらかな朝の光が、彼の顔を照らしていた。
リリア:「リク!目が覚めたのね!」
リリアが真っ先に駆け寄り、瞳を潤ませる。
リリア:「もう、どれだけ心配したと思ってるの……!」
ミルナも、無言のまま枕元に立ち、リクの額にそっと手を当てる。
ミルナ:「熱はないわ。……良かった」
そこへ、王の使者が姿を現す。
使者:「勇者リク殿。王よりの言葉を伝えます」
使者は一礼し、朗々と告げた。
使者:「汝、国の恩人たることを認め、当面の間、我が別荘の使用を許可する――心と体が癒えしとき、再び王の御前へ出仕されよと」
リク:「……別荘?温泉なんかもあるの?」
使者:「はい。王都からは少し離れますが、しばし心安らぐ時をお過ごしくださいませ」
リクは、ぼんやりと天井を見上げた。
全身がまだだるく、頭もぼうっとしている。
でも、どこか心地よい――
リク:「じゃあ、まずは町で買い物をしたいんだけど。大量の食料を仕入れないと」
リリア:「……は? 温泉行く気満々?」
リク:「いや、こういうときって、温泉行かないと回復しない気がして」
ミルナが苦笑し、リリアは小さくため息をついた。
だけど、その顔はどこか、嬉しそうだった。




