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第57話 封印作戦開始

 夜明け前。空にはまだ星が瞬き、空気は張り詰めていた。

 王都ミレストの城壁を越え、無数の灯りが列を成して進み出す。


 リクたち、そして王都の精鋭部隊、生産ギルド、各地から集められた熟練の冒険者たち。

皆の目には、決意と不安が入り混じっていた。


リク:「……今日で終わらせる。災厄の王を、封じるんだ」


 そして、夜が明ける共に、リクは深く息を吐き、笛を吹く。


 それに応じて、巨大ゴーレム アトラ=ヴァースが、山を揺らすような音を立てて起動した。


 その足元では、百人がかりで鉛を巻きつけた巨大な岩が次々と運ばれ、まるで囲いを築くように災厄の王が眠る地へと集められていく。


---


 しかし、作戦が始まった、その瞬間だった。


 「……ッ!」


 ズズズズズ――――。


 低く、鈍い音が地の底から響く。

 それはまるで、大地が痛みにうめき声を上げているかのようだった。


 「な、なんだ……!? 地面が揺れてる……!」


 作戦司令部の幕舎にいた兵士たちがざわめき、報告が次々と飛び交う。


 その様子を見ていた封印反対派の男が、勢いよく立ち上がる。


 「見たか! これが災厄の王の力だ! 封印などしても、根本的な解決にはならん!」


 「むしろ、封じ込めれば封じ込めるほど、奴の苦痛は増し、暴走するのだ!」


 「我々は過ちを繰り返しているだけだ! 真の解決は、災厄の王と向き合い、語ることだ!」


 王都の貴族や知識人たちの一部が、その言葉に頷き始める。


「リク殿の勇気は称賛に値するが、彼は若い……! 決断を急ぐべきではない!」


 現場の空気が揺らぎ始め、生産ギルドの職人たちが、工具を放り投げて逃げ出し始めた。

 続いて鉛職人たちも、巻き付け作業を中断して後退を始めた。


 リリア:「みんな、待ちなさい! 」

 リリアが叫ぶが、その声は虚しく霧散していく。


 残されたのは、リクたち数人と巨大ゴーレム アトラ=ヴァース、そしてミニゴーレム。


さらに悪いことに――空が急に暗くなり、唸った。


「……雨?」


 ぽつり、ぽつりと降り始めた雨が、やがて激しさを増していく。


 災厄の王に降り注いだ雨は、触れた瞬間、白い蒸気へと変わった。


 ミルナ:「っく……! 前が、見えない……!」


 ミルナがマントで顔を覆いながら、低く叫ぶ。


 リリア:「あちこちで視界ゼロだ。リク、どうする!」


 剣姫リリアも、焦りを滲ませる。


 それでもリクは一歩前に出ると、臆することなく、


 リク:「こんなことで止まるわけにはいかない……。俺たちがやるんだ、最後まで!」


 その声に、リクを信じて残った者たちの顔が上がる。


 そして、作戦は、再び動き出した。



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