第56話 凶刃
王:「リクよ。貴公がこの作戦の総指揮を執れ――」
王の言葉に応じてリクが深く頷き、会議が終わろうとしたその瞬間。
突如、会議室の陰からひとりの男が飛び出した。
黒衣に身を包み、鋭い刃を手にしたその男は、一直線にリクへと駆け寄る。
男:「貴様のせいで、我が息子は“偽者”と罵られたァァッ!!」
叫びと同時に、男のナイフが振り下ろされる。
リク:「パリイ!」
瞬間――リクはパリイで防ぐと、その男は後ろへと弾きとばされた。
さらに、リリアが横から割って入り、男の喉元に剣を突き付けた。
リリア:「何のつもりだッ!」
リリアの鋭い威嚇に、ようやく皆が我に返り、会議室が騒然とした。
「……こいつ、ニセ勇者セイリオスの父親だ」
「以前、息子を“勇者”にするために神託を偽造した罪で、王都から追放されていたはずだが……」「どこから入り込んだ!?」
リクは無言で床に転がったナイフを見下ろし、息を整えると、淡々と告げた。
リク:「……俺が本物の勇者であること。それが、どれほど多くの恨みや嫉妬を生むのか、今のでよくわかった」
だがその瞳には、迷いはなかった。
リク:「それでも俺は、やらなきゃいけない。この世界を守るために」
一瞬の沈黙。
そのあと、誰ともなく、静かな拍手が起きた。
王:「勇者殿の覚悟、しかと見届けたぞ」
王が深く頷き、作戦会議は無事終了した。




