第53話 巨大ゴーレム アトラ=ヴァース
春風に揺れる木漏れ日の中、リクは森の奥へと進んでいた。巨大ゴーレムを探しての旅。その道中、不意に彼の足が止まる。
リク:「……ん? この木……なんだ?」
一本の小さな木が、他の木々とはまるで異なる存在感を放っていた。細い幹は透き通るような緑を帯び、手で引っ張ると、まるでゴムのようにしなやかに伸びる。
リク:「これ、木なのか……? 何か面白いから貰っていくか」
実はこれはシフの幸運度アップのお陰によるもので、めったに発見できない世界樹の若木であり、国家級の交易対象物であった。
リクはそうとも知らずに、町で手に入れたマジックバッグにしまい、先へと進んだ。
……
リクは少し進んでは笛を吹き、ゴーレムがいないか確かめながら歩き続けた。
リク:「……反応なし、か」
長年の風雨で苔むした大地を踏みしめながら、リクは苦笑する。
リク:「こっちの方向にいると思ったんだけどな」
するとそのとき、
コロロ:「報告。微弱な信号を感知。巨大ゴーレム アトラ=ヴァース。コード番号:GV-01A(Golem Verse-01 Alpha)の認証コードと一致」
リク:「えっ! 本当に? どこだ!?」
コロロは頭部の丸い目をキュイッと光らせ、森の奥――斜面を下った先の古びた遺構の方を指差す。
コロロ:「座標、東南東。距離、オヨソ80メートル」
リク:「……そっちが先に見つけちゃうの、ズルくない?」
リクは肩をすくめつつも、思わず口元が緩む。
リク:「でも、よくやった。お前、やっぱり頼りになるな!」
ミニゴーレムは首を傾げるようにコクリと頷いた。
リクは笛を吹くのをやめ、足早にミニゴーレムの示す方向へと進み始めた。やがて、古代の工匠が作り上げた巨体が、確かに眠っていたのだ。
リク:「見つけた……これが、希望の一手になる」
空を見上げるリクの目に、木々の隙間からこぼれた光が差し込んでいた。
リク:「……久しぶりだな。巨大ゴーレム、いや、アトラ=ヴァース。お前にも、やってほしい仕事があるんだ。付き合ってくれるよな?」
リクの言葉をコロロが通信すると
アトラ=ヴァースは無言で、だが確かに頷いた――。




