第51話 リクの作戦
ダンジョン都市ルゼンナ、冒険者ギルド本部。昼を過ぎた時間帯でも、広間には冒険者たちの喧騒が響き渡っていた。
その奥、重厚な扉の向こう――ギルドマスター・グレヴェンの執務室には懐かしいメンバーが顔を揃えていた。
勇者パーティーの敗北を聞いたリクが、急ぎやって来ていたのだ。
リク:「封印する。力で倒せないなら、閉じ込めてしまえばいい」
ギルドマスター:「ふむ……“災厄の王”を、封印すると?でも、封印をどうやって? 結界とか、術式とかか……?」
革張りの椅子に深く腰掛けたグレヴェンは、太い眉をひそめながら、報告書に目を通していた。
リク:「いや、物理的にです」
リクはコロロに目をやった
リク:「巨大ゴーレムを使って、周囲に岩を積み上げ、災厄の王をまるで岩の棺桶に入れるかのように、物理的に封印します。魔力も要らず、維持も比較的簡単です」
ギルドマスター:「……お前、相変わらず突飛なことを考えるな」
グレヴェンは鼻を鳴らしたが、その顔に浮かぶのは呆れと、ほんの少しの期待だった。
リク:「他に手はないんです。“倒す”には、あまりにも人類は準備不足ですから」
リリアが口を開いた。真剣な声に、グレヴェンは重くうなずく。
ギルドマスター:「それに、今回、案内人のギランさんと一緒に行動してわかったのですが、王都ように整地された場所に厄災の王が潜んでいることはありません。誰かが後から厄災の王を呼び出したということになります」
リクは放射線や不発弾の名前は出さないほうがいいと考えていたため、あくまでも厄災の王で話を通した。
ギルドマスター:「……なに?」
グレヴェンの目が鋭く細まる。室内の空気が、ピリッと張り詰めた。
ギルドマスター:「その話、詳しく聞かせてもらおう。下手をすれば、“災厄”は自然の結果じゃなく、誰かの意図的なものになる」
リク:「はい。しかし、王都への作戦の説明と誰かの意図についての調査はギルドにお任せします。俺達は王の封印を最優先にします」
リクは真っすぐにグレヴェンを見つめた。グレヴェンはしばらく黙っていたが、やがて重々しくうなずいた。
ギルドマスター:「……よし。ギルドとして、封印作戦の承認願いを王都に出そう。お前の作戦に王都も納得するかは分からんが、俺は信じる」
リク:「ありがとうございます、ギルドマスター」
ギルドマスター:「だが……気をつけろよ。災厄の背後に誰かがいるなら、お前らの動きも見られてる可能性がある」
リク:「はい。用心します」
そして、ギルドを後にするリクたち。背中には、災厄を封じるという重い使命と、見えない敵への警戒心があった。




