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第49話 勇者パーティーの敗北

 崩れた塔、苔むした回廊、魔力を吸い取る奇妙な石像――多くの仕掛けがあったが、どれも決定的な手がかりにはならなかった。


 リク:「……これで、全部調べたか」


 リクは汗を拭いながら、ぽつりとつぶやいた。


 リク:「収穫もそこそこあったし、帰ろうぜ」


---


 リクが禁域の奥から戻ってきたのは、陽が地平線に沈みかける頃だった。


 リリア:「リク!」


 真っ先に駆け寄ったのはリリアだった。後に続いてリリアも息を切らしながら走ってくる。


 リリア:「無事だったのね……!」


 リク:「……ああ。ただいま」


 リクは肩に背負った荷物を降ろすと、ぼふっと埃を舞わせて座り込んだ。その姿に、皆の表情がほっと緩む。


 ギラン:「成果はどうだった? 禁域の奥に、何か“武器”でもあったのか?」


 ギランの問いに、リクは首を横に振った。


 リク:「武器じゃない。見つかったのは――本ばっかりだ」


 彼は荷物を開け、中から数冊の古びた本を取り出した。


 ミルナ:「これは……。全部リクの国の言葉?」


 リク:「そう、俺しか読めないけど、料理の本、菓子のレシピ、植物の育て方まである。とても“災厄の王”に立ち向かう道具には見えないかもしれない。でも……」


 リクは一冊の本を手に取った。


 リク:「――これはすごいぜ。単純だが確実な、厄災の王への対策ができるかも知れない」


 全員が息をのむ。リクは仲間たちの目をまっすぐに見つめなた。


---


 リディエルの町に戻ったリクたちは、いつものようにギルドの扉をくぐった。


 だが、その空気はどこか張り詰めていた。


 受付にいたメリアが、リクの姿を見るなり駆け寄ってきた。


 メリア:「……リクさん! 大変です、王都近郊で“厄災の王”の討伐に向かった勇者パーティーが、……」


 メリアの言葉はそこで止まり、しばらくして続けられた。


 メリア:「……全員、全身に火傷のような損傷を負って、命からがら帰還したそうです。……すぐには回復魔法も効かず、治療班が対応に追われているとか」


 リクの胸の奥に、どくんと鈍い衝撃が走った。


 ミルナ:「勇者たちが……負けた?」


 ミルナが唇を押し当てるようにして言葉を呟く。


 リク:「どんな攻撃だったのか、情報は?」


 メリア:「分かっているのは、“熱”のようなもの。ただし、不思議なことに防具にはキズらしいものはなく、身体だけにダメージがあったようです」


 メリアの手が震えているのを見て、ギランがぽつりとつぶやいた。


 ギラン:「災厄の王……ただの魔物じゃねぇ。今の世の理すら、焼き崩すような“何か”だな」


 リリアがリクを見上げて言った。


 リリア:「……でも、リク、禁域の本で“何か”思いついたって……。あれ、通用するの?」


 リクは迷うことなく、うなずいた。


 リク:「報告を聞いて、想像が確信に変わった。大丈夫だ」


 その言葉に、仲間たちの目に一瞬の希望が灯った。


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