第41話 バロック=シールド
リク達の向かっ頑強な石造りの防壁に囲まれたその町は、まさに“防御の町”であった。
リクたちが情報を集めようと立ち寄ったギルド本部。その重厚な扉を開いた瞬間――
老人:「……その歩き方。懐かしいな。ガルムの弟子か?」
その声に、リクたちは振り返る。
カウンター席の奥に、重装の鎧に身を包んだ大男が座っていた。深く刻まれた傷跡と、くすんだ銀の瞳が歴戦を語る。
ギルド職員が小声で囁く。
職員:「……あの方は、バロック=シールド。リディエル最強の防衛戦士であり、かつて“剣聖ガルム=フレイ”と共に世界を巡った者だよ」
リク:「ガルムを知ってるのか?」
バロック:「“知ってる”どころじゃないさ。あいつとは地獄を三度潜った」
リリア:「あなたが……父と旅を?」
バロック:「ん?…お前さんはガルムの娘かい?似てるぜ、目の奥の炎が」
その言葉に、周囲の冒険者たちがざわつく。ガルムの過去は、伝説の断片でしか知られていない。
バロックは、リクを見据えた。
バロック:「で、お前が……あいつの意志を継ぐってわけか?」
リク:「意志? いや、ここに行けと言われただけなんですけど?」
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その夜、バロックの家。
バロックは静かに話はじめた。
バロック:「わしの先祖は、旧リディエル―200年前の“災厄の王”の出現により、滅びた町―の住民じゃった」
リリア:「ここに来る途中にあった遺跡都市ですね」
バロック:「そうじゃ、災厄の王の出現により、町は徐々に蝕まれ、生き残った者たちは北へ逃れ、新しい“盾の町”を築いたんじゃよ」
リリア:「じゃあ、……あちらが“原初の盾の町”ということね。」
バロックは、ついついリク達と話したくなるのを我慢して、苦笑いを浮かべた。
バロック:「……難しい話は明日にしよう。今日は疲れてるだろう? まずは身体を洗え」
そう言って、バロックは屋敷の奥にある“風呂”に案内してくれた。
バロック:「湯は薪で沸かしたが、ちょうどいい頃合いだ。……ふふ、風呂の文化は旧リディエル時代の誇りでな。残っててよかったよ」
通された石造りの浴場には、意外にも心地よい蒸気が満ちていた。古代の技術なのか、温度調整された木桶に湯がなみなみと注がれ、香草の匂いがほんのりと漂っている。
リク:「うお……これ、めちゃくちゃ気持ちいいな……!」
まずはリクの声が浴場に響き、順番に入った。
その夜、久々のやわらかな布団の中で、リクたちは深く眠りにつく。
嵐のような日々のなか、ほんの少し、心を預けられる夜だった――。




