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第34話 幸せの招き猫

 ダンジョン都市ルゼンナのギルド――。


 今日も変わらず魔石を300個納品してきたリクたちに、受付嬢がぽつりと疑問を漏らした。


 受付嬢:「……すみません、ちょっといいですか? リクさんたちって、毎回どうやってそんなに魔石を?」


 リク:「ん? 普通に倒して、拾ってるだけだけど?」


 リリア:「確かに。普通でしょ?」


 ミルナ:「……けど、確かに妙ではあるわね。魔石、落とさなかったことなんて一度もないし」


 受付嬢の表情が微妙に引きつる。


 受付嬢:「い、いえ……通常、モンスターが魔石を落とす確率は平均して50%以下なんです。魔力の濃度や撃破の仕方によっても変動するんですが……100%ドロップは、ありえないんです」


 その場に、ざわっと空気が流れる。


 ギルマス:「……恐らく、“その猫”の存在によるものだろうな。その風の精霊猫――」


 そしてギルドマスターが静かに言葉をつなぐ。


 ギルマス:「“幸せの招き猫”――そう呼ばれている伝説級の精霊種だ。主に風と運命を司る存在。傍にいる者の幸運値を大幅に引き上げることで知られている」


 ミルナ:「まさか……リクたちの幸運補正、+100ってこと?」


 ギルマス:「ああ。通常、幸運値が10上がれば、ドロップ率が10%程度向上するとされている。+100なら、全ての敵から100%魔石がドロップする計算になる」


 リク:「……チートじゃん、それ」


 リリア:「なんでシフがそんなすごい存在なのに、今まで黙ってたのよ……!」


 シフ:「にゃふっ(聞かれなかったから)」


 ギルマス:「風の精霊猫は滅多に人に懐かない。それが君たちの仲間になっているという事実だけでも……十分異常だがな」


 リクは肩に乗ったシフをぽん、と撫でながら、ぽつりと呟く。


 リク:「まあ、なるほど。どうりで、魔石集めが楽しいわけだ」


こうして、魔石100%ドロップの秘密は、シフの幸運補正によるものであることが明らかになった。


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