第32話 ミルナの活躍
静かに靄が漂う石造りの迷宮。リク、リリア、ミルナの三人と、従魔シフは、慎重に一階層の探索を進めていた。
第一層とはいえ、ルゼンナのダンジョンは“深層型”。油断すれば、初層でも命を落としかねない。
リリア:「……気を抜かないで。魔物の気配……来るわよ」
リリアが警戒を促す中、壁の陰から現れたのは、群れを成した【スケルトン・ウォリアー】たちだった。
リク:「骨だー。骨、何体?」
ミルナ:「六体。後方にもう二体隠れてる。弓兵ね。配置は……挟撃型」
冷静な声で敵の構成を分析するミルナ。その目には、かつて情報官として鍛えた鋭さが宿っていた。
ミルナ:「リリア、前衛は任せたわ。リク、突撃禁止。……私が攪乱する」
そう言って、ミルナは黒いマントを翻し、まるで影のように壁際を走った。
リク:「おお……なんか忍者っぽい」
次の瞬間、ダガーに宿った微かな闇属性の魔力が【スケルトン・アーチャー】の弓腕を砕く!
スケルトンA:「……ギギィィッ」
弓の射線を断ったミルナは、さらに矢継ぎ早に短剣を投擲し、もう一体の弓兵を沈黙させた。
リリア:「速い……それに、的確。後衛潰しが完璧……!」
リリアが剣で突撃兵を押さえる間に、リクは相変わらずのんびりと一歩下がっていた。
リク:「じゃあ、そろそろ一発」
――パリイ!
スケルトンの剣を“構えてすらいない”リクの手のひらが弾いた。
魔力が逆流し、骨の魔力構造が崩壊。爆ぜるようにスケルトンが砕ける。
ミルナ:「今の……やっぱり、意味わからない……!」
だがその驚きもすぐに引っ込め、ミルナは背後から忍び寄ったスケルトンに短剣を突き立てた。
数分後――
スケルトンの残骸を前に、息一つ乱れていないミルナが立っていた。
リク:「おおー、ミルナ超強い。マジ助かったわ」
ミルナ:「……当然よ。仲間になったからには、手は抜かない」
そう言って、少し照れたように視線を外すミルナ。
リリアは微笑しながら、呟いた。
リリア:「ふふ、頼もしいわね……もう立派な、うちのエースよ」
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こうして、ミルナは仲間としての第一歩を踏み出した。
かつて影に生きた者が、仲間のために戦う姿は――どこか、ほんの少しだけ、誇らしげだった。




