第3話 はじめての依頼
さっそく俺は、初心者用の依頼を受けてみることにした。
《依頼:ダンジョン周囲の狼掃討》
難易度:Fランク
報酬:10銀貨
狼は群れで襲って来るので、受付嬢はパーティーを組むことを勧めてきたが、俺は1人でダンジョンに向かうことにした。
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ダンジョンへの道をのんびり歩いていた時だった。
遠くの茂みがガサリと揺れる。雷のような音が空気を震わせる。
俺:「……ん? なんか出てきたな」
木々を押し分けて姿を現したのは、全身から青白い雷を纏う巨大な銀灰色の獣。
目はギラつき、口からはバチバチとスパーク音。
明らかに魔獣クラスのオーラを放っている。
だが――
俺:「お、あれがこの世界の狼か」
そう、俺にはちょっと気合入った狼にしか見えなかった。
獣の目がギラリと光り、雷のオーラが収束する。
次の瞬間――飛んだ。
俺:「あ、来るんだ。よしよし、じゃあ――」
右手をすっと上げて、
「パリイ」
ゴギャアァァン!!!
雷撃と衝突音が空気を裂き、獣はその場で半回転しながら吹っ飛ぶ。
数メートル転がり、ぐったりと動かなくなった。
「……え? 今、何が起きたの?」
俺は理解しようとしたが、そんな暇を与えず、群れの他の狼たちが唸る。
俺は、目をつぶりながらも、
「パリイ! パリイ! パリイ!」と、叫び続けた。
五分後。
周囲には十数匹の狼たちが倒れ伏していた。
――
彼はまだ知らない。
彼の“防御専門スキル”はただの防御ではなく 物理攻撃・魔法攻撃・毒・精神攻撃… 全てをパリイできる、超絶チートが詰め込まれているということを。