第27話 最後の一振り その2
それは、朝陽が完全に町を照らし出したころだった。
バルゴの工房を訪れたリクとリリアは、異様な静けさに思わず足を止めた。
リク:「……なんか、空気が、違うな」
リリア:「……命を懸けた鍛錬が終わった、そんな感じがする……」
工房の扉が開いた。
そこに立っていたのは、顔に煤をつけながらも、どこか誇らしげな表情のミナだった。
ミナ:「……できました。“魂継ぎの剣”です。……こちらへどうぞ、リリアさん」
彼女の後ろを付いて行くと、バルゴがふらりと現れた。
その足取りは不安定だったが、しっかりと、両手で包むように、輝く剣を持っていた。
バルゴ:「……これが、わしの集大成じゃ。“魂継ぎの剣”……お前のために打った、最後の一振りじゃよ」
リリアは、無言で剣を受け取る。
包みを解いた瞬間、工房全体が光に包まれた。
――その刃は、淡い蒼銀色。
鍛え抜かれた刀身には、炎のように揺らめく紋様が浮かんでいる。
リリア:「……なんて、綺麗な剣……でも、ただ美しいだけじゃない。……この剣、戦場を“護るため”に作られてる……!」
剣を握った瞬間、リリアの心に、確かな力が流れ込んできた。
バルゴ:「……剣姫よ。これからの旅路に、幾多の戦いがあろう。だがそのたびに、この剣がお前の意志を支えるじゃろう……」
リリア:「……この剣と一緒に、生きていきます。バルゴさん、ミナさん、本当にありがとう」
工房に、ふたたび静けさが戻る。
だがそこには、確かに火が灯っていた。
――それは、父から娘へ、そして世界へと受け継がれる“魂の炎”だった。




