第22話 剣豪の間――亡霊たちの試練
ドワーフの名匠、バルゴ=アイアンビアードが腕を組み、リリアをまっすぐに見据える。
バルゴ:「俺が鍛える剣は“振るう者”を選ぶ。強さも、技も、覚悟も、すべて見せてもらうぞ」
そう言って彼が案内したのは、「剣豪の間」と呼ばれる、鍛冶場の奥深くにある石造りの円形闘技場だった。
そこには、重たい空気と剣気――そして、かつてここで命を燃やした戦士たちの霊魂が眠っている。
バルゴ:「ここには、剣に殉じた数多の“剣豪の魂”が封じられておる。そいつらは“生半可な覚悟”を嫌う。試されるのは……お前の“本物”だ」
リリア:「……いいわ。やるしかないもの」
バルゴが大槌で床を叩くと、辺りに霊気が立ち込め、剣を携えた亡霊たちが次々と姿を現す。
その眼光は、確かに生きた剣士そのもの。
リク:「おお、これ絶対俺だったらパリイしちゃうやつだな。けど今日はリリアのターン」
シフ:「ニャッニャー。(がんばれリリア)」
バルゴ:「30分――生き残ってみろ!」
――そして、試練が始まった。
剣豪の間に響くは、刃と刃の音。
リリア:「はっ――!」
亡霊剣士:「……速い。だが、“隙”がある」
斬撃をかわし、踏み込み、反撃。
だが相手は実力ある剣士の霊。いくら斬っても、霊体は霧のように再び立ち上がる。
亡霊剣士:「技量は十分……だが、“信念”が弱い」
リリア:「……信念……?」
瞬間、頭をよぎる――かつての自分。王都で“剣姫”と呼ばれた誇りと重圧。
それに潰されかけた過去。
だが、今は違う。リクやシフと旅をして、世界の広さと自由を知った。
この剣を振るう意味は――過去じゃない。これからだ。
リリア:「私は、剣姫じゃない。――私は、私の剣を振るう!」
その声とともに、剣が蒼く輝き出す。
残り時間わずか。
だがリリアは、もう“受け”ではなく、“見切り”と“決意”で刃を交えていた。
やがて、霊気が霧のように消え――静寂が訪れる。
――
バルゴ:「……30分、戦い抜いたな。お前の剣魂、確かに見届けた。“本物”だった」
リリアは膝をつき、汗と涙が混じる顔で笑う。
リリア:「これが……新しい私の、一歩……」
バルゴ:「よし。ならば作ってやろう。お前の魂に応える、真の“一振り”をな!」




