第2話 はじめての町
王都へ向かう長旅の途中、この世界ではじめて見つけた小さな村に立ち寄った。
「ロゼリ村」と呼ばれているその場所は、森と川に囲まれたのどかな農村で、周囲な壁は一応あるが、子供でも壊せそうなくらいボロい。
門番もいなかったため、勝手に村に入ると、道の両脇には木造の家が並び、子どもたちの笑い声が聞こえた。
俺:「……めちゃくちゃ平和だな」
その中でも、一番目立つ大きな建物が冒険者ギルドだった。
俺:「……さて、登録ってのはここでいいんだよな」
中に入ると、がらんとした受付があり、カウンターの奥に座っていたのは小柄な女性だった。
ぱっと見、受付嬢というより村の雑貨屋のお姉さんという感じ。
受付嬢:「いらっしゃい。……って、珍しいね、こんな時間に」
俺:「冒険者になりたくてな。登録したいんだけど」
受付嬢:「おお、ようこそ! ロゼリ支部へ!」
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登録には、名前、生年月日、戦闘経験、得意な武器の申告が必要らしい。
受付嬢:「で、えっと……得意な武器は?」
俺:「剣。というか、パリイ」
受付嬢:「……パリイ?」
俺:「攻撃を受け流すやつ。」
受付嬢:「えーっと、それって防御専門?」
俺:「そう、かな」
受付嬢:「……うん、よく分かんないけど、カッコいいからOKにしとく!」
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登録が完了し、ギルドカードを受け取る。
木製の、安っぽい初期カードだったけど――俺にとっては特別だった。