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私も普通じゃない?

 私は目が覚めると、昨日のことを思い出す。

 昨日はあれから、直ぐに瑠菜が帰ったので、特に何も無かった。そう、だから瑠菜の勘違いも解けてない。


「はぁ……」


 私はため溜息をつきながら階段を下り、リビングに行く。


「おはよ――」


 いつも通りお母さんに挨拶をするつもりが、途中までしかいえなかった。


「なんでいるの?」


 そこにはいつもは居ないはずの瑠菜がいたから。


「なんでってあんた、瑠菜ちゃんに失礼でしょ?」

「いえ、私は気にしてませんから」


 お母さんの言葉に瑠菜は笑顔でそう答える。

 確かにいつも一緒に登校はしていた。瑠菜がいつも私の家の前で待っているからだ。何度か家で待ってても良いと伝えてはいたんだけど、いつも断られた。だからこそなんで瑠菜がいるのか分からない。


「まぁ、いいわ。私は仕事に行くから、後は瑠菜ちゃんに任せるわね」

「はい! 任せてください!」


 任せるも何も、もう朝食は置いてあるし、後はあれを食べて学校に行くだけだと思うんだけど。私は朝の手入れとかもしないし。

 そんなことを考えているうちに扉が閉まる音が聞こえた。


「じゃあ、れーな? ここ、座って」


 瑠菜はそう言って自分の膝をポンポンとする。

 正直座りたいとは思うけど、そんなことしたら朝食が食べずらいとも思う。恥ずかしいし。


「やだけど」


 だからそう答えた。


「……なんで? 私たち付き合ってるでしょ?」

「……付き合ってるからって、そんなことする訳じゃないでしょ」

「じゃあ、頭撫でて?」

「それぐらいなら」


 そう言うと、瑠菜が私の体に体を預けてきたので、片手で抱き寄せながら、瑠菜の頭を撫でる。


「れーな……好き」

「……私も、好きだよ」

「嘘」


 嘘じゃないけど……どう頑張ったら信じてくれるか分からない。


「嘘じゃない」

「もういい。早くご飯食べて、学校行こ」


 嘘だと思われて怒ってるのかと思ったけど、顔を見てそうじゃないことに気づいた私は、言われた通り朝食を食べる。


「美味しい?」

「普通」


 だってただ食パンを焼いただけだし。

 

「手、貸して」


 食パンを食べ終えた私は瑠菜にそう言われる。

 私は食パンを手で持ってたから、一応ティッシュで拭いてから、瑠菜に手を出そうと思ったら、ティッシュを取ろうとした手を止められた。


「瑠菜?」

「わ、私が綺麗にしてあげる」


 そう言って瑠菜は私の指を舐め始めた。

 ……これ、私どういう反応したらいいんだろう。正直嫌では無いけど、別に嬉しくもない。

 ティッシュに手が届かないから取り敢えずもう片方の手を服で拭いてから、瑠菜の頭を撫でる。


「綺麗にしてくれてありがとう」

「ひぇーな……」


 私の指を咥え、顔を赤らめながら瑠菜が多分私の名前を呼んでくる。


 ……何時までやるんだろう。


「瑠菜、そろそろ学校行こ?」

「……うん」


 手、どうしよ。洗いに行く……のはまずいよね。綺麗にしてくれてありがとうって言ったわけだし。

 まぁ、いいや。別に汚いとかは思ってないし。……これって私も普通じゃないのかな? まぁ、いいや。


 私は瑠菜と一緒に玄関を出て、扉に鍵を閉める。

 

「れーな、手繋ご?」


 そう言って瑠菜は手を差し出してくる。


「通学路に着くまでなら」

「……今日はいいよ」

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