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友達の家

 瑠奈と別れた私はコンビニに寄り、プリンを買った。それ以外には特に頼まれていなかったので、プリンが入った袋を持ち、先生に聞いた美菜璃の家へ向かう。

 

 美菜璃の家の前に着いたわけだけど……やばい、めちゃくちゃ緊張する。

 美菜璃の家な訳だし、美菜璃の親とかが出てるく可能性だってある……と言うか、美菜璃は熱が出てるんだから、そっちの可能性の方が高い。

 

 家の前でウロウロすること約五分。私は覚悟を決めて、チャイムを鳴らした。

 すると扉が開き、普通に美菜璃が出てきた。


「……寝てなくていいの」

「んー、もう治っちゃった」


 ……普通に美菜璃が出てくるなら、私がただ家の前でうろちょろしてただけの人みたいじゃん。いや、どっちにしろ傍から見たらそうなのかもしれないけど、私の中じゃ覚悟を決める時間だったんだよ。友達の親に会うとか、瑠奈以外では初めてだし。


「はぁ……はい、これ」


 私はプリントと、買ってきたプリンを渡す。


「なんでため息をついたのかは分からないけど、ありがと鈴々菜」

「じゃあ私帰るから」


 用は済んだので、そう言って帰ろうとする私を何故か美菜璃は止めた。


「せっかく来たんだし、遊んでいこーよ」

「……病み上がりでしょ」

「もう大丈夫だから!」

「私に熱が移るかも」

「あ……」


 最後にそう言うと、美菜璃はハッとした表情になり、さっきまでの笑顔が嘘みたいに、悲しそうな表情になる。


「確かにそうだよね」

「……急に遊んでいきたくなった」


 正直に言うと、熱が移ることとか気にしてない。単純に友達の家に上がるのとか、瑠奈の家以外に無かったから、緊張して、逃げようとしただけだ。そもそも友達が瑠奈以外にいなかったんだけど。

 

「え、気を使わなくていいよ、鈴々菜。実際移っちゃうのは本当だし」

「いや、私がどうしても遊びたいの」


 なんでかは分からないけど、美菜璃が私以外の人と仲良くしてるのを私は見たことがない。美菜璃の性格的に私とは違って友達なんていっぱい出来そうなのに。

 だから、美菜璃も友達を家に上げるのとか初めてかもしれない。だから、さっきもあんなに舞い上がったのかも。


「……いいの?」

「いや、私が遊びたいから言ってるだけだけど」

「移しても文句言わないでね! ほら、何も無いところだけど、上がって上がって」


 ……さっきまでの落ち込みぶりどこに行ったんだろう。

 まぁ、いいか。


「お邪魔します」


 そう言って、靴を揃えてから私は美菜璃に着いていく。


「そういえば、今、親居ないの?」

「うん。家共働きだから」

「そうなんだ」


 だったら本当にさっきまでの緊張はなんだったんだろうか。


「もしかして緊張してた?」

「……別に」

「あ、あそこが私の部屋ね」


 階段を上り、奥にある部屋を指さしながら美菜璃が言う。


「どうぞ、入って」


 美菜璃の部屋に入る。

 美菜璃の部屋は小さめのテレビに勉強机、そしてベッドに、ぬいぐるみが何個か並んでいた。


「ゲームしよ」

「何するの?」

「これとかどう?」


 そう言って美菜璃がゲームのカセットを見せてくるけど、正直よく分からない。


「いいよ」


 どれであってもよく分からないし、何でも良かったので、私はそう答える。

 すると、美菜璃は自分の分のコントローラーを持ち、もう一つを私に渡してくる。


「ありがと」

「早くやろう」


 そう言い、美菜璃はゲームを起動しながら、さっき私が買ってきたプリンの蓋を開けていた。

 ゲームしながら食べるんだ。……まぁ、美菜璃の部屋だし、なんでもいいけど。

 私がそう思っていると、私の視線に気がついた美菜璃が何を勘違いしたか、スプーンで掬ったプリンを私に向けながら言う。


「食べる?」

「いい」


 今は甘いものの気分じゃなかったのでそう言うと、美菜璃はそれを自分の口に運んだ。

 

「美味しい。買ってきてくれてありがとね」

「……早くゲームしよ」

「うん」


 少し気恥ずかしかったので、素っ気なくそう答え、ゲームをする。

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