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もしかして私の幼馴染って病んでる?

「ねぇ、れーな?」


 れーな……私の幼馴染の古沢瑠菜(こざわるな)が勝手に呼んでいるあだ名。私が白輪地鈴々菜(しらわちれれな)という名前で、幼い時にれれと同じ文字が続くと呼びにくかったらしくそう呼ばれるようになった。


「何?」


 私は口下手で表情もあんまり変わらないから、大体の人が離れていっちゃうんだけど、瑠菜はずっと一緒にいてくれるから好きだ。幼馴染としても、恋人になりたいという意味でも。

 でも、そんなこと言えるわけが無い。単純に怖いってのもあるし、見た目が釣り合ってない。瑠菜はふわっとした感じの茶色い髪の毛が可愛いし、わざわざ私の家に来るだけなのにメイクとかもしてある。大して私はなんの手入れもしてない長い黒髪に、瑠菜が来るだけだしとなんのメイクもしてない。好きな人なのにだ。外に出る時だって大してする訳では無い。

 学校でだって入学して一ヶ月で人気者になり、友達をいっぱい作った瑠菜と違い、私は友人を一人しか作れてない。いや、別に友達は数が多いほど偉いなんてことないのは分かってるけどさ。


「えっと……ね?」


 瑠菜は妙に言い淀む。

 私は何か大事な話かと思い、スマホを置き瑠菜の方へ体を向ける。


「わ、私……れーなの事が好き……です」


 耳の先まで顔を赤らめながらそう言う瑠菜。

 好き……好き? 幼馴染として……だよね? いや、でも幼馴染として今わざわざ好きって言うのはおかしいし……つまり今私は告白をされているってこと? いやいや、れ、冷静になるんだ私。私のどこに惚れる要素がある? ましてや同性。私は確かに瑠菜のことが好きだけど、同性の子への思いが実るのなんてなかなかないと思う。多分私が恥ずかしい勘違いをしてるだけなんだ。うん。そうに違いない。……じゃあこんなに顔が赤いのはどういうことだろう。単純に好きって言うのが恥ずかしかった? いや、それだとただの告白になっちゃうから違うか。

 と、取り敢えず何か答えないと。

 

「私も好きだよ」


 もし、もし本当に告白だった場合断るなんてありえないから、私はそう答えた。


「幼馴染として、でしょ?」


 違う。けど……


「当たり前でしょ?」


 あぁ、自分で言ってて心が痛い。もし仮にここで勇気を出してたら何かが変わったのかもしれない……いや、確実に変わったと思う。それがいい方向か悪い方向かが分からない。だから私は逃げた。

 

「そう……だよね」

「そう、だよ」

「れーなはそうでも、私の好きは違うよ?」


 瑠菜は苦しそうに、切なそうにそう言ってきた。

 

「どういう……」

「だから、私はれーなが好き。幼馴染としてじゃなくて、恋人になりたいって意味で好き」


 夢? 

 私は腕も抓り、夢では無いことを確かめる。

 痛い。……夢じゃない、じゃあ、ドッキリ? いや、これも違う。瑠菜はイタズラはするかもだけど、こういうイタズラはしない。……じゃあ、何? 考えるまでもない。告白されてる。


「れーな、私と付き合ってください」


 早く答えないと。答えなんて考えるまでもない。ずっと好きだった。だから、早く答えないと。


「私――」


 私も好き。そう答えようとすると、突然口が塞がれた。唇で……なんかじゃなく手で、瑠菜が泣きそうになりながら私の口を抑えていた。


「るあ?」


 口を抑えられてるから、瑠菜と呼ぼうとしても上手く呼べなかったが、これは仕方ない。

 そんなことよりも、なんで瑠菜はそんなに苦しそうなの?


「れーな……私れーなの答え分かってる」


 えっ? なんで!? 顔には出ないし、態度にも出てなかったと思う。なのにバレてたの? 私の気持ち。


「れーなはさ……私の事、そんなふうに見たこと無かったよね。いきなりこんなこと言われて迷惑だよね」


 え? 何を言ってるの? 待って、全然私の気持ち分かってない! 

 私は瑠菜の手をどかそうとするが、私の力じゃビクともしなかった。これは私が弱いんじゃなく瑠菜が強すぎるんだと思う。こんなに細い腕のどこにこんな力があるの。


「でも、ごめん」


 瑠菜はそう言うともう片方の手を私の首元に持っていく。


「私が、気持ちを言っちゃったから、もう……友達には戻れないよね。だから、選んで。私と一緒に死ぬか、私と付き合うか」


 待って待って、急に何言ってるの!? え? もしかしなくても私の幼馴染って病んでる? ……でも、まぁ恋の前に病んでるのなんて些細な問題か。その証拠に私はやっぱり瑠菜が好きだ。首を閉められそうな今でもその思いは変わらない。だから今はそれより、この状況をどうするべきか考えよう。


 ……もし断ったら私瑠菜に殺されるの? いや、別に断るつもりないから良いんだけどさ。でも、ここで好きだから付き合うって言っても、命おしさにとしか思って貰えないよね……どうしよう。かと言って断るなんて選択肢ないし。


「んー! んー!」

「あ、そっか、これじゃ答えられないよね」


 そう言って瑠菜は私の口から手を退けてくれた。首元の手はそのままだけど。

 

「私も瑠菜のことが好き……だから、これからは恋人としてよろしくお願いします」

「……れーなの好きは幼馴染として、でしょ?」

「え? いや……」

「でも、今は恋人になれただけで嬉しい。だから、頑張ってれーなに幼馴染としてじゃなくて、恋人として好きになってもらうから」


 ……いや、もう恋人として大好きなんだけど。

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