ポンコツ女神と大人マオ
2022/09/16 誤字報告受け付けました。
いつもありがとうございます。
「ねぇ、女神様の力でいまマオちゃんが戻れるほどの魔力って渡せないの?」
里中が尋ねると女神は待ってましたと言わんばかりの顔で手から光る石を取り出した。
「そんな事も言われるであろうと思って用意してきましたよ!
そんな事もあろうと思って!!」
ドヤ顔でそう答える女神様。
「貴女ひょっとして挨拶回りの間に日本のアニメ文化に染まってない?」
「な、な、な、何のことでしょうか?」
「地球を見たら?」
「何もかもみな懐かしいですね」
「降伏勧告を受けたら?」
「バカめと返してやりますよ」
「オッケ〜分かったわ」
「は!?私から秘密を抜き出すとはやりますね」
「その言い方だとニンジャになるTRPGにもハマってそうね。
ユウちゃん、マオちゃん大丈夫?
この女神様は想像以上にポンコツ臭がするわよ」
里中がユウとマオに問いかける。
唯も同意見なのか渋い顔をしている。
田中リーブだけはポンコツ女神というのが琴線に触れたのか益々筆が乗ってきていた。
「いや、確かに女神様には不安があるけど」
「それは間違いなく本物じゃ。
その石には魔力が込められていて妾が一日戻るくらいの魔力はありそうじゃの」
「そうでしょうそうでしょう!
これ差し上げますからポンコツは撤回してください」
「分かったわよ。
私の目が間違っていたわ・・・貴女は頼りになる素晴らしい女神様ね!」
「分かれば良いのです。
では、元魔王にこれを授けましょう」
女神が石を指しだしマオが受け取る。
「これならいけるのじゃ」
マオがそう言った瞬間に光に包まれる。
その光が消えるとそこには昔、ユウが描いた通りのスタイル抜群の美女が立っていた。
「ふ〜この姿も久しぶりじゃな。
どうかな、ユウよ?」
「ちっちゃいマオも可愛くて良かったけど、この姿も一緒に彷徨ってた時のこと思い出していいよね。
うん、変わらずに美人だよ」
「そうであろう、そうであろう。
皆の者はどうじゃ?」
そう尋ねるマオの前では驚きで固まっていた里中と唯がいた。
「分かってはいたけど目の前で変身するのを見せられたら驚いたって言葉では片付けられないわね。
ほら、唯。
マオちゃんが感想を求めてるわよ」
「ほえっ!?
あ、ああ、はい。
とてもお綺麗で・・・何といえばいいのやら」
「全く・・・驚くのは仕方ないけどもっとしっかりなさいな。
リーブ先生なんていつも通りよ」
「え?」
唯がそう言われてリーブ先生の方を見ると、今度は大人バージョンのマオを勢いよくスケッチしていた。
何やらブツブツ言っているので近づいてみると
「次の新衣装はこれで決まりだな」
とか、
「この仕事は絶対にやらせてもらおう」
などと呟いている。
それを聞いた里中は
「あら、いいじゃない。
こっちの女神様のスケッチもいい出来だし、そこまで日本文化に染まっているなら女神様もウチからデビューしちゃう?」
と言い出したのであった。