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繋がった世界

「それで今回の一連の騒動の顛末を聞かせてくれるという話だったけど」


話題が違う方向に行っていたので里中は強引に引き戻す。


「ああ、そうでした!

大まかな話としてはそちらの元魔王の言っていた内容に間違いはありません。

元勇者が王族に担ぎ上げられ、魔王領の土地を奪うための暗殺者として送られた。

もちろん、私は神託など出してはおりませんでしたわ」


「・・・それじゃ、僕は本当は勇者でも何でも無かったってこと?」


女神の言葉にユウが尋ねると彼女は首を横に振った。


「いいえ、貴女は間違いなく精霊の祝福を受けて産まれた勇者ですわ。

勇者は時代に関わらず必ず産まれます。

そして、世界を滅ぼしかねない要因が現れた時にそれを解決する存在として神託から命令を下すのです」


女神の言葉を聞いてユウは胸をホッと撫で下ろす。


「はぁ〜良かったよ。

これで実は勇者じゃなくてただの一般人だったとか言われたら肩書き変えなきゃいけないかと思ったよ。

元勇者じゃなくて偽勇者みたいな?」


「あらあら、そんな所を心配していたなんて配信者らしくなってきたものね」


里中がそう言って笑顔が溢れ空気が緩みそうになる。


しかし、その直後にマオが前に出た。


「話はそれだけではないのであろう?」


「ええ。

貴女達が戦いの末に次元の狭間に囚われたので私は慌てました。

その場で待ってくだされたらすぐに穴を開けて救出出来たのですが闇雲に歩き回られたお陰で探すのは困難になってしまったのです」


「おお、そうじゃったのか!

助けに来てくれるなど全く思いつかなかったからのう」


「それは仕方のないことです。

その後、貴女達の足取りを追い続けてこの世界と繋がる空間を発見してやってきたというわけです」


「その後に挨拶回りをしてから接触しに来たというわけじゃな。

なるほど、なるほど」


女神の言葉にマオは満足そうに頷く。


「私とこの世界の神様の挨拶が終わった結果二つの世界は繋がりました。

少しではありますがあちらの世界から魔力が流れるようになりますが、こちらは2人に繋げておきましょう」


「あら、それじゃこの2人はこっちで魔法を使えるようになるのかしら?」


「理屈ではそうなりますが、大気に魔力が満ちていないので放出は出来ないはずです。

自身の身体能力を上げるとか、元魔王が本来の姿に戻るとかくらいですかね。

それでも3日貯めて1日戻れるくらいです」


「少しとは言え元の姿に戻れるって!」


その話を聞いてユウは嬉しそうにマオに話しかけるが当人は微妙な顔をしていた。


「うーむ、この世界では戻れても・・・という気はするのう。

その為の服は買わねばならぬし・・・正直な話、下着を買うのが一番怖いのじゃ」


「どういうことです?」


マオの言葉に女神が首をかしげる。


その疑問にマオではなく唯が答えた。


「ああ、マオちゃんの本来の姿って前にユウちゃんが書いたスタイル抜群の美人さんでしたよね。

この世界ってある程度の大きさまでは大量生産されていて安く手に入るんですが・・・あのサイズだと生産数が少なくて値段が高くなってしまうんですよ。

そもそも、そういう専門店に行かないといけないので面倒みたいですね・・・私には関係ありませんが」


「あらあら、すっかりこの世界の住人なったみたいですね。

私としても2人の幸せを願っていますからこの世界で幸せに暮らせているなら喜ばしいことですわ」


女神の言葉に2人は手を繋ぎ顔を見合わせてから自信満々に答える。


「それはもちろん!」


「間違いなく妾達は幸せに暮らしておるのじゃ!」

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