やってきた女神様
2人の3Dモデリングが完成したということで事務所にあるスタジオにやってくる。
そこには里中と唯に加えて田中リーブもいた。
「これで全身僕たちが動いてるのを再現できるんだね!」
「これは本当にすごい技術じゃのう」
必要な装置を装備しゴーグルを装備すると自分がその世界に入り込んだ景色が映りこむ。
「あ、すごーい!
アニメ絵で動くマオがいる!!」
「こっちもユウが見えておるのじゃ」
2人はいつも以上にハシャギながらお互いの動きを確認しておく。
「これって速さにも対応できるのかな?」
「うーむ、どうじゃろうか?」
ユウは自身の身体能力を使って一瞬で目の前にいたマオの背後に回り込む。
「どう、社長?」
「うーん、再現は捉えているとは言えないわね。
ユウちゃんが一瞬かき消えて急に背後に現れた感じかしら。
まぁ、私たちの目でも同じように見えたから似たようなものだけど」
「うーん、そっかぁ。
残念だなぁ」
「うむ、流石に無茶があったかのう?」
2人は顔を見合わせて溜息をつく。
「うん?何かやりたいことがあったのかしら?」
「僕とマオにしか出来ないことって考えると模擬戦思いついちゃって。
身体能力も落ちたとは言えこっちの世界の人たちより遥かに優れてるからそういうの見せられないかと」
「まぁ、冷静に考えれば高価な機材を着けてスタジオを破壊することは出来んのう」
はっはっはっと笑い合う2人に唯がニッコリと詰め寄る。
「それやって壊したら貴女達しばらく給料なしですからね」
「分かってるって!
何か別の方法考えないと」
「うむ、機材を壊しては他の者にも迷惑がかかるからのう」
「それ、私の力を使えば何とかなるかもしれませんよ」
突然、里中達の後ろから声が聞こえる。
ユウとマオは慌ててゴーグルを取り、他の三人も後ろを振り返る。
そこには長い金髪を腰の部分まで真っ直ぐ降ろした白いドレスを着た女性がいた。
全員が真っ先に思ったイメージは女神である。
「貴女、誰かしら?
ここは関係者以外は立ち入り禁止だけど」
「あらあら、それでは私は立派な仲間だと思いますわ。
そちらの2人の側で・・・ですが」
「僕たちの・・・」
「関係者?」
女性の言葉に2人は首を傾げる。
2人ともこの女性には見覚えが無かったからだ。
「あの子達も知らないみたいですが?」
唯も厳しい表情で問い詰める。
田中リーブは女性を見て何か創作意欲が湧いたのか持っていた紙に猛烈な勢いで何かを描き始めている。
「会ったことは無いですから知らないのは当然ですわ。
でも、あの子達をこの世界に導いたのは私ですから、2人の関係者で間違い無いのでは?」
里中と唯の言葉にも動じずに女性はニコリと笑い答える。
「この子達を導いたって・・・貴女、まさか?」
「ええ、私はこの2人の世界を管理する女神です」