マオと天照子の顔合わせ
今回はユウの配信の裏側でのマオの行動です。
10/30 誤字報告受け付けました。
いつもありがとうございます。
ユウが一人で配信している裏でマオは事務所に足を運んでいた。
今日は先輩との初のオフコラボであり、その打ち合わせと顔合わせの為である。
今のマオは頭はニット帽をかぶって角を隠している。
尻尾はどうするべきかという話になったが、現代社会で子供にしか見えないマオには問題ないだろうという話になった。
良くも悪くもコスプレの一種として扱われるのが現代社会の良いところであろう。
「おはよ〜ございます!」
事務所の扉を勢いよく開けて入ってきたのは先輩の天照子さんである。
彼女はくじよじの中でも上位に入る配信者だ。
初期の頃は天照の地上での姿という設定で神々しさを前面に押し出していたのだが、配信を続けるうちに地が出てしまったタイプである。
酒好き、下ネタ好き、BL好きという初期とのギャップが逆に人気が出てしまった要因である。
更にそんな中でもファンのお便りには真剣に耳を貸し相談するなどの懐の深さも人気の要因であろう。
「お、おはようございます!」
「あら、貴女がマオちゃん?
きゃ〜本当にあのキャラのまんまじゃない!!
里中さん、こんな子よく見つけてきたわね」
「見つけてきたんじゃなく目の前に落ちてきただけなのよね。
これから先で事故が起きても怖いから先に証拠見せておきましょうか」
里中はマオに指示を出して帽子を取るように言った。
マオはその指示に従って素直に帽子を取る。
そこには普段の配信で使っているのと変わらない二本の角があった。
「え、そこまで普段から完璧にコスプレしてるとかプロ根性すごくない?
私と違って普段からブレないと思ってたけど、ここまでなりきるとは!!」
「アマちゃん、違う違う。
マオちゃんはね、本当に別の世界から来た魔王様なのよ。
この角も尻尾も作り物じゃなくて、ほ・ん・も・の。
あたしの社長生命かけてもいいくらいのマジな話よ」
「え・・・マオちゃん、その話本当なの?」
天照子が尋ねるとマオは頷いた。
「はい、本当のことです。
ユウが勇者なのも本当です」
マオは証拠と言わんばかりに尻尾をフリフリと動かした。
「き・・・」
「き?」
「きゃあああああ!
そんな話現実であるなんて感激!!
ウチの会社、悪魔とかエルフとか猫とか訳の分からないキャラ演じてる人がいっぱい居るけど本物の勇者と魔王なんて凄すぎるわ!!
里中さん、私この会社に入って初めて良かったと思った!!」
興奮した天照子は里中の肩を掴んでガタガタ揺らした。
マオはそんな二人を見てどうしたらいいか分からずにオロオロしている。
「お、お、お、落ち着きなさい、アマちゃん。
それにこの会社に入って良かったと思ったことなかったの、貴女?」
「いや〜そこは勢いというか、もちろん冗談ですよ。
でも、マオちゃんが本物だなんて夢にも思わなかったわ。
・・・あれ?そしたらマオちゃんの設定だと思ってた年齢300歳って?」
「本当のことですよ」
「じゃあ、会社じゃ私の方が先輩だけど人生・・・いや、魔生?
よく分からんから人生でいいわね!
人生の大先輩じゃない。
なら敬語なんて使わずにいつも通りに話してよ」
天照子の提案に判断がつかないマオは里中の方を見た。
「こう言い出したら聞かない子なのよ。
いつも通りで構わないわよ」
「それではいつも通りに話させてもらうかの。
よろしく頼むのじゃ、アマ先輩」
「こちらこそよろしくね!」
2人はそう言って握手をする。
配信前の顔合わせは上々でありマオの緊張も天照子の勢いの良さに吹き飛んでいったようである。