2人の後輩
Vの業界とはまだ出来たばかりであり、未だ思考錯誤しながら市場を開拓している状態である。
更に機材と知識を持っている、またはお金でその手間を代行すれば誰でも参加できる。
最近は優秀なボイスチェンジャーまであり、男性でありながら自然な幼女の声を出せるなど技術の進歩も目覚ましいと言えるだろう。
つまり何が言いたいかというと
「僕達に後輩が出来るの?」
こういう事である。
Vの芸能プロダクションと言うべき『くじよじ』では多数のVをデビューさせて管理している。
ここ最近は異世界からやってきた本物の勇者と魔王をそのままのキャラクターでデビューさせる。
という一大プロジェクトにかかりっきりであったが、2人も現代社会にすっかり慣れて手が離れた為に新しい子をデビューさせようという話になったのだ。
本来はもう少し2人に手をかけるつもりだったのだが、2人の適応力とマオの優秀さがこの結果をもたらしたと言って良いだろう。
「そうよ〜貴女達もすっかり慣れて固定ファンもたくさん付いてきたからね。
もうそろそろ新しくデビューさせようと思って」
「久しぶりのデビューなので私達としても大きなイベントにしたいんです。
そこで2人に司会をしてもらって紹介して雑談しながらデビューさせるのはどうかという話になったんですよ」
「ふむ、それは構わぬがどのようなキャラクターなのじゃ?」
マオに問われて里中は机の中から資料を取り出した。
「1人目はこの黒雪 姫花ちゃんね。
童話の白雪姫をモチーフにして、それらを残しつつ黒いゴスロリの格好にしているわ。
片目に眼帯をしているのが特徴ね。
黒い傘を持っているけれど、これは銃になっていて吸血鬼という設定よ」
「うわ〜かわいい!
それに本当に漫画やアニメにいそうなキャラ設定だね」
「うむ、実に男性ファンの心を掴みそうな格好をしておるのう。
しかし、ここまでキャラ作り込んでも維持できんのではないかの?」
「そこがVの醍醐味みたいな所はありますから気にせずに。
2人みたいにキャラと中身が一致して崩れない方が珍しいんですよ」
そんな事を言う唯の言葉に2人は首をひねる。
「僕たちはそのままやっているだけだから」
「キャラクターとか言われても困るのう」
「2人はそれで良いのよ。
もう1人はこの子ね。
夜野 蝶子、スナックを経営しているママという設定よ。
本人がお酒大好きな大人の女性なので、最近流行りのバブみを感じさせるデザインにしているわ。
包容力のある女性って感じね」
「おお、おっぱいがバインバインだ。
社長〜このおっぱい動くの?」
「もちろん動くわよ〜そこが視聴者の望んでいる所でしょうし。
この2人が同期としてデビューするからお披露目会はよろしくね」
「分かった!頑張るよ!」
「妾も可愛い後輩のために出来る限りのことはするぞ」
里中の言葉に2人は頷き、後輩のデビュー日を心待ちにするのであった。