倦怠期(偽証)
「最近思ったんだけどさ……」
ある日のこと、ユウは真剣な面持ちでマオに語りかける。
「なんじゃ、藪から棒に?」
そんなユウに対してあまり気にしていない様子でお茶を国に含むマオ。
「僕たちって倦怠期じゃない?」
「ブフオオオオ!!
げ、ゲホ……いきなり何を言うておるのじゃ?」
ユウの突拍子もない話に思わずお茶を吹き出すマオ。
「こっちに来てから最初の方は一緒に寝ないと精神が崩れる程の共依存って設定だったじゃん」
「設定ではなく事実じゃな。
誤解を招く言い方をするでない」
「それが今や二人の寝室は別々でお互いに配信で部屋に篭る事も多々あるわけで。
会うのは食事の時だけなんて日もあるわけでしょ」
「いや、1日3食でしっかり顔を合わせているのは寧ろ十分なのでは?」
ユウとマオはキチンと当番を決めて1日3食を自炊している。
その時には必ず同席するので少なくとも総合すると1日に2時間弱は顔を合わせていることになる。
だが、ユウは納得していない様子で首を振る。
「その食事の時間も夜はマオが出掛けることがあるから無い場合もあるじゃないか」
「それは先輩達との飲み会の誘いじゃから仕方なかろう?
そもそも、ユウも一緒に来て良いと言うておるのに断っておるのはそなたじゃろう」
「だって僕はお酒好きじゃないし〜お酒飲まない人が飲み会に参加して盛り下げるのも嫌じゃん。
そもそも、変身したマオと違って僕はまだ見た目は未成年だよ」
「そのせいで昼間に出歩いて警察に捕まる事もあったのう。
しっかりとした身分証を持っておったから事なきを得たわけじゃが」
「マオは親戚から預かった子供って事で上手く通ったよね……待てよ?
マオを僕の子供って事にしたら新たな関係で倦怠期が吹き飛ぶのでは?」
「おかしな考えはやめぬか!
年齢的にも妾の方がお姉さんじゃろ」
「見た目は僕の方が上だもん!
魔法で元に戻るのも3日に一回が限度でしょ?」
ユウの反論にマオはぐぬぬ〜と唸り声をあげる。
「はぁ〜結局のところ、お主はどうしたいのじゃ?」
「え?デートしようって誘ってるだけなんだけど」
「分かりづらいわ!!」
「あれ……分からなかった?」
「倦怠期のテーマがデートのお誘いと分かるものはおらぬと思うぞ」
「そっか〜ごめんごめん!
改めて久しぶりにデートに出かけようよ」
「では、着替えてくるから待つが良い。
というか、お主も準備するのじゃぞ」
「ラジャ〜」
こうして突発的にデートに向かう二人。
果たして自称倦怠期を打破できるのであろうか?




