巫女の置き土産 2
「もう寝ておるじゃろうからのう……起こさないようにゆっくりと……」
そう呟きながらマオはゆっくりと扉を開けて帰宅する。
だが、彼女の予想に反して家の中は電気が点いており、ユウがまだ起きていることを教えてくれた。
「なんじゃ、まだ起きておったのか。
日は既に跨いでおると言うのに何をしておるのじゃ」
とりあえずは気にしても仕方がないので、シャワーを浴びたり寝間着に着替えたりと寝る準備を始めていた。
そこで気が付いたのだが、ユウが起きているのであれば大抵は何処かで顔を出すはずである。
しかし、今日に限っては部屋に籠って全く出てくる気配がない。
訝しく思ったマオはユウの部屋の扉をノックする。
「あれ?マオ?」
「失礼するぞ」
「もう帰ってきたんだね」
「今何時じゃと思っておるのじゃ」
そう言ってマオは部屋に飾られた時計を指さす。
「何時って……ええ!?
もう午前の2時なの!」
「そうじゃよ。
そんな事にも気付かずに何かに熱中しておったようじゃが……何をしておったのじゃ?」
「前に巫女先輩が来た時にこっそり忍ばせていたらしいゲーム見つけちゃって。
試しにやってみたら面白すぎて止まらなくなっちゃったみたい」
「夢中になるのは悪くないのじゃが、程々にしておかねばの。
それでどう言うゲームをやっていたのじゃ?」
「いわゆるハクスラ系と呼ばれるRPGだよ。
システムが僕に合ってて良いんだよね」
「ハクスラとは何じゃ?」
「ああ、そこからか……ハック&スラッシュの訳なんだけどね。
元々の意味とは違うけど、現在は沢山の敵を倒して
戦利品をかき集めるゲームの事を指すね。
能力がランダムな装備品が落ちる傾向にあって、より質の高い物を求めて同じ敵を倒す続ける事が多いね」
ユウが説明している間、頷きながら椅子を持ってきて隣に座る。
「これは随分と昔のゲームのようじゃのう」
「20年くらい前のゲームらしいよ。
画質は古くさいけど逆にそっちの方が良いまであるね」
「確かにそうじゃな。
画面の情報だけで何となくどう言うゲームなのか分かるのは良いところじゃな。
せっかくじゃ……酔い覚ましにゲームの説明でもしてもらおうかのう」
「おっけ〜任せといてよ!」




