勇者と魔王の観光 〜プロローグ〜
本格的に寒くなってきた今日この頃。
ユウとマオは観光に行こうという事で事務所で面白い場所は無いかと話し合っていた。
「あら、それならここに行ったらどうかしら?」
と居合わせたアマさんがスマホの画像を見せてくれる。
2人が覗き込むとそこにはキラキラと輝くイルミネーションを写した画像があった。
「うわぁ、凄く綺麗!
こんな所見た事ないよ」
「これは・・・この時期はイルミネーションの写真をよく見るがものじゃが。
いやはや、これはレベルが違うのう」
「ここは野球チームのキャンプ地がある場所で有名なんだけど、同時にこの遊園地も有名なの。
夏はプール、冬はイルミネーションで人気があるから行ってみれば?
普通はカップルが行く場所なんだけど・・・貴女達なら問題ないでしょ」
「ありがとう、アマ先輩。
マオ、早速予定組もうよ!」
「そうじゃのう。
それではこれで失礼するぞ」
2人は目的が決まったので足早に事務所を去っていった。
「お待たせ〜2人とも。
観光ガイド持ってきてあげたわよ・・・って、あれ?」
「私がここ勧めたら早速予定組むって行って帰っちゃった」
「あらぁ、そこに行くなら観覧車のペアチケットが余ってたのに。
まぁ、今度唯にでも届けさせてあげればいいわね」
そう言って里中は財布からピラリと観覧車のペアチケットを取り出した。
「里中さん、何でそんなの持ってるの?」
「あそこのパスポートってワンデーは観覧車含むんだけど、ナイトパスは観覧車含まれないのよ。
でも、私たちは観覧車に乗るときにそれ知らなくて、チケットがいるものだと思って買っちゃってたのよね。
そしたらワンデーだから要らないけど返金も出来ないから次回使ってって。
期限は無いらしいから持ってたんだけど」
「そうなんだぁ、誰と行ったの?
っていうか、相手は男?女?」
アマがそう尋ねると里中は人差し指を口に当てて
「それは秘密よぉ。
良いオネエには秘密が多いものなのよ」
「うげっ、オッサンのそのポーズはキツイからやめてよ。
あーあ、 私も誰かと一緒に行きたいものだわ」
「だからってリスナー誘うとかはやめてちょうだいね」
「そこまで見境ないわけじゃないわよ」
2人が談笑していると扉が開き唯が入ってきた。
「おはようございます。
って、どうしたんですか2人とも?」
「何でもないわよ。
そう言えば貴女にも浮いた話が無いわよね?
この子連れていけばいいんじゃ無い?」
「私はノーマルだから勘弁。
じゃあ、私もちょっと寄っただけだから行くわ。
唯ちゃんもまたね〜」
「え、あ、はい。
お疲れ様です」
唯はよく分かっていない顔をしながらアマを見送るのであった。