地獄閻魔先生と食事会
焼肉回です。
地獄閻魔先生に連れられてやってきたのはチェーン店ながら最高級の肉を提供することで有名な焼肉店だった。
店の入り口から高級感が漂っており、○時間食べ放題などという店の雑居さなど一切ない。
スマートな店内。
背筋が美しく身だしなみも整えられた店員。
席に案内されて中央の網を見るまではここが焼肉店だということを忘れてしまいそうだ。
「今はランチタイムだからメニューはこれだけなんだけど、私はタンが好きだからCにしようかな?
2人も希望が無ければCランチでいいかしら?」
地獄閻魔は慣れた手つきでメニューをサッと一読して決めてしまう。
2人もメニューを見たが何が何やら分からないので彼女の提案はありがたかった。
ありがたいのだが・・・
「マオ、Cランチって5千円超えてるんだけど。
ランチって普通ワンコインとか1000円以内とかそういうのじゃないの?」
「う、う、う、うむ。ま、まぁ、閻魔先生の好意なので受けるべきじゃろう」
ユウとマオはその値段を見て固まってしまっていた。
最高級の名は伊達ではないのである。
「うふふ、遠慮しないでね。
あ、Cランチ3つでお願いします。
ご飯は私は小で・・・2人はどうする?」
「僕はお腹いっぱい食べたいから大で!」
「妾は中にしておこうかのう」
地獄閻魔が呼び出しベルを押し、現れた店員に注文をしていく。
「本日のドリンクは何かしら?」
「カルピスと林檎のジュースです」
「それじゃ、それを食前に。
ユウちゃんとマオちゃんは?」
「僕も先生と同じ物を食前で」
「妾は烏龍茶をもらおうかのう。
同じく食前でお願いするのじゃ」
注文を受けて店員が立ち去ると2人はキラキラとした目で地獄閻魔を見ていた。
「先生、スゴイね!
こんな高い店なのに慣れてて常連様!って感じが凄く出てる」
「うむ、妾達ではこのような店は利用できないからのう」
「Vの活動始めてから若い女の子達と食べに行く事が多くなっちゃってね。
ここに来ると2人みたいに尊敬して褒めてくれるのが嬉しいからよく利用しちゃうのよね。
もちろん、味がいいのも間違いないわよ」
暫く雑談しているとランチメニューが運ばれてくる。
「ここはお肉も美味しいけどサラダも絶品なのよ。
良かったら食べてみてちょうだいね」
地獄閻魔の勧めで、2人は肉を焼く前にサラダに口をつけてみる。
「なにこれ!?こんなに美味しいサラダ食べたことないよ」
「このドレッシングが絶品じゃのう。
幾らでも食べれそうじゃ」
「ふふふ、そうでしょ?
でも、メインはお肉だから焼きましょうか」
そうしてお肉を焼いてみたのだ、2人はその味に驚く。
今まで食べてきた肉の味とは何だったのだろうか?
かつての世界で王に招かれて出たパーティの料理ですらこの肉の前では霞んでしまうだろう。
「凄い!なにこれ?
口の中で蕩けるよ」
「今までに感じたことのないほどに柔らかい肉じゃのう。
こんな肉は今までの長い生の中で味わったことがないぞ」
「勇者様と魔王様に喜んでもらえて良かったわ。
さぁ、遠慮せずにジャンジャン食べてね」
美味しい食事は人間関係を円滑にすることが出来る。
3人は美味しい肉に舌鼓をうち、話は盛り上がる。
こうして食事会は大盛況で終わるのであった。
後日、ユウ達はスーパーで見かけたこの焼肉店の少しお高いドレッシングを買うことになる。