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カザの話と起こした事件

「うう……ぐす。

本当にごめんなさい」


ようやく泣き止んで落ち着いたカザはユウから離れた。


そのタイミングを見計らってマオがタオルをユウに手渡した。


「ほらほら、可愛い顔が台無しだから!」


そう言いながら涙で腫れたカザの顔に優しくタオルを押し当てる。


その作業が一通り済んで落ち着いた所で再びマオが話を切り出した。


「それで一体何があったのじゃ?」


「……全部僕の油断が招いた事だったんだ」


そう言ってカザはポツリポツリと話し始めた。


始まりは彼女達の本業である怪異の調査及び討伐であった。


いつも通りにやれば何も問題の無い仕事……だったのだが、最近ユウ達に修行をつけてもらっていたカザは調子に乗っていた。


いや、調子に乗るという言い方は正しくないのかもしれない。


小学生の頃にハナの父親に、その後は山姥の元で修行をつけてもらっていたカザだったが、その時点で彼女は退魔士の中でトップクラスの実力を身につけてしまっていた。


つまり、彼女を鍛えて更なる高みに登らせてくれる存在がいなくなってしまったのだ。


こうして成人した今に至るまで彼女には師匠というものが現れなかった。


そんな中、突如として異世界からやってきた2人はカザが及ばない程の高みにいた。


こうして再び師匠と呼べる人物に巡り会えて鍛えてもらったカザは浮かれていたのだ。


そして、仕事の依頼の中には極稀に予想よりも遥かに上位の存在が裏で手を引いている事がある。


今回は浮かれていつもと違うカザと、イレギュラーな依頼という最悪の組み合わせが齎した悲劇と言えよう。


仲間の静止を無視して一人先行したカザは上位妖怪の作った結界に囚われる。


その結界の中では人間の霊力を弱らせて妖怪の妖力を強化させる作りとなっていた上に、倒した妖怪が時間を置くと復活するという仕様になっていた。


幾ら強くなろうと弱体バフをかけられた上で無限に攻めてくる兵士を相手にしてはカザも苦戦を強いられた。


ジリ貧になり霊力の限界がきて心が折れかけた時に助けに来たのがハナだった。


彼女は自身の霊力を振り絞って結界に穴を穿ち脱出の為の道を切り開いた。


こうして何とかピンチを脱出したカザであったが、今度は生きる為の力でもある霊力を全て放出したハナが倒れてしまう。


慌ててハナの実家の教会に搬送された彼女は応急処置によって一命は取り留めたものの、未だに目を覚さないという。


このまま目覚めなかったらと思うと怖くなってしまい

、気付いたらここに来てしまっていた……というのがカザの話であった。

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