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#ホラー系TRPG ドラマパート 12

オリーが発砲した弾は真っ直ぐに岡崎教授へと向かっていく。


だが、弾が命中する直前に見えない何かに弾かれてしまった。


「ふふふ、無駄だよ。

ゆうま君は本当に素晴らしいものを持ってきてくれたものだね」


そう言う彼の手にはゆうまのコレクションであった水晶玉が握られていた。


「ファッツ!?」


「さっきオリーが渡してた資料に書いてあった。

あの水晶玉は持ち主を防御するバリアを張れるらしいんだ」


「オーノー!

それじゃ教授を攻撃しても無駄ネ?」


「ふふふ、その通りだよ。

無限の盾と最強の矛を手にした私を止める事など出来はしないだろう。

諦めて私の言うことを聞けば被検体になる栄誉をあげようではないか。

上手くいけば人を超える力を手に入れさせてやるぞ」


「そんなのお断りヨ!」


「ならばしょうがない。

やれ、ムーンビーストよ」


岡崎教授の命令でムーンビーストと呼ばれた化け物がのそのそと動き出す。


この時、ゆうまは岡崎教授のある言葉が引っかかっていた。


(無限、あの資料にはそんな風に書いてはいなかった。

もしも最後の一文が書き足されたものであったのなら……確か資料を作ったのは月穂さんの筈だ)


ゆうまがその事に気付いて月穂を見ると彼女は何処か楽しげに彼の方を見ていた。


「しょうがないから先ずはあのモンスターを倒すネ」


「待った!

オリーは岡崎教授を狙って欲しい」


そう言いながらムーンビーストに銃を構えるオリーに対してストップをかける。


「バット……バリアが……」


「僕が何とか姉さんを戻して加勢させるから。

無茶を承知でお願いするけど化け物をいなしながら岡崎教授に攻撃して欲しい」


「……オーケー。

なにか考えがあるのね。

でも、モンスターが厄介ネ」


「ウォン!!」


オリーがそう呟くのを見た狼が一声吠えてムーンビーストの方へと駆けていく。


ゆうま達に向かって歩いていたムーンビーストだが、自分の周りを駆けて回る狼の方に気を取られたようだった。


「ダディ……サンキュー!

これで心置きなく狙えるネ」


そう言って再びオリーが岡崎教授に向かって発砲する。


今度は2連射したのだが、一発はあらぬ方向へ。


もう一発は正確に岡崎教授へと向かっていく。


その一発も教授に当たる前に見えない壁に阻まれて届くことは無かった。


その一方でゆうまは恐慌状態の姉の元へと駆けつけると彼女の肩を持って声をかけた。


「姉さん、しっかりして!」


「いやあああああ!!」


ゆうまの言葉を全て拒否して身体を振るまゆ。


「姉さんがしっかりしてくれないと僕も姉さんもオリーも全員死んでしまうかもしれないんだ!

頼むから僕の声を聞いてよ」


「いやあああああ!!」


「姉さん!

姉さんは僕を含めて色んな人を護るために強くなったんでしょ。

僕はそんな姉さんの事を心から尊敬しているんだ……頼むから、僕の大好きで強かった姉さんに戻ってよ」


「……ゆうま?」


「姉さん!?

元に戻ったの?」


ゆうまの必死の呼びかけが響いたのだろうか……全てを拒否していたまゆの身体が止まり静かに顔を上げた。


その瞳には先程のような恐怖の色は残されていなかった。


「そっか……格好悪いところを見せちゃったね。

でも、ここからはちゃんと見せてあげる。

あんたの好きな格好良いお姉ちゃんの姿を!」


そう言って立ち上がったまゆはムーンビーストと狼の元へと向かった。

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